2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740213
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
阿部 聡 金沢大学, 理学部, 講師 (60251914)
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Keywords | 量子固体 / ヘリウム3 / ヘリウム4 / 核磁気秩序 |
Research Abstract |
本年度は、^3He-^4He混合固体中でナノクラスター状態にある^3Heの核磁性研究に必要な実験装置の開発を主に行った。 [試料作成装置]室温部で約10Mpaに加圧された^3He-^4He混合試料ガスを、1K以下の測定試料室に導入し、圧力と温度を制御して^3He-^4He固体試料を作成する。この温度領域ではヘリウム以外の不純物は固化し導入配管を詰まらせるため、混合試料ガス中の不純物濃度は数ppm以下でなければならない。このため昇圧に潤滑液体等を一切使用しない炭素吸着式昇圧装置、液体窒素トラップによる不純物除去装置を製作した。これらの装置と精度0.1%で測定可能な半導体歪み圧力測定装置、^3He濃度を制御する標準体積を組込み、また加圧効率を高めるため内径1.0mmの細管を使用して、^3He-^4He混合試料ガス操作装置を開発した。 [永久モード付超伝導ソレノイドの試験]核磁気秩序転移等の検出は磁場中における磁化測定によって行うが、^3He濃度が1%程度と希薄なため1000Gauss程度の外部印加磁場が必要である。しかし磁束変化に極めて敏感なSQUID素子を用いるため、外部印加磁場は10^(-9)以上の安定度や電流電源からの高周波ノイズの遮断が不可欠である。通常外部印加磁場としてNb超伝導円筒管にマイスナー磁場をトラップさせる方法があるが、欠点として外部印加磁場を変化させるためには超伝導臨界温度(約10K)以上に昇温させねばならず測定試料が融解する。従って本研究では超伝導ソレノイドに永久モードスイッチを付加し永久電流モードと電流掃印モードの切替可能な外部磁場生成法を採用し、その性能を試験した。その結果、消費電力20mW以下の良好な永久モードスイッチ本体を開発し、さらに安定度向上のため機械的コンタクトによる超伝導接続を改良中である。
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