2001 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン酸化物による局所格子歪みと相分離のX線散乱による研究
Project/Area Number |
13740225
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
下村 晋 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (00260216)
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Keywords | マンガン酸化物 / 巨大磁気抵抗効果 / ポーラロン / 電荷整列 / 軌道整列 / 散漫散乱 / X線 / 磁場 |
Research Abstract |
ペロフスカイト型マンガン酸化物は、電荷軌道整列現象・磁気転移・金属絶縁体転移・構造相転移が互いに関連して起こり、特に負の巨大磁気抵抗効果が現れることから活発な研究がなされている。これまで我々は、電子がつくった局所格子歪みに自身が捕獲されようとするポーラロンの効果とポーラロン間の相関の発達が、電荷軌道整列や巨大磁気抵抗効果を理解する上で重要であることを示してきた。本研究では超伝導マグネットを用いた磁場中X線散漫散乱により、体積分率と相関長の定量的な評価とそれらの温度・磁場依存性を測定し、近年注目を集めている相分離現象と伝導現象の関係について調べた。主な結果は以下の通りである。 1.典型的な電荷軌道整列を示すPr_<1-x>Ca_xMnO_3について、電荷軌道整列転移温度以上で存在する不整合波数をもつ短距離秩序状態の磁場依存性を調べた。その結果、磁場による伝導度の増加に伴い、不整合ピーク強度は一定の相関距離を保ったまま連続的に減少することがわかった。このことから、短距離秩序領域は磁場の上昇により不均一に減少していくと考えられる。 2.Mnサイトを不純物で置換すると、相分離状態が起こりやすいことが報告されている。不純物Crで2%置換したNd_<1-x>Ca_x(Mn_<0.98>Cr_<0.02>)O_3について上記と同様の測定を行ったところ、不整合波数をもつ短距離秩序については、上記のPr_<1-x>Ca_xMnO_3と同様の結果が得られた。一方、整合波数をもつ長距離秩序状態に磁場を加えると強磁性金属相へ転移するが、転移磁場近傍で相共存がおこり、その際不整合構造が再びあらわれることがわかった。これらの不整合波数をもつ電荷軌道秩序領域の体積分率と磁気抵抗には非常に良い対応関係が存在することがわかった。
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Research Products
(1 results)