2001 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖を拘束した界面活性剤膜のスローダイナミクス
Project/Area Number |
13740252
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 助手 (50323861)
|
Keywords | 拘束 / 界面活性剤 / スローダイナミクス / マイクロエマルション / 中性子スピンエコー / 高分子鎖 |
Research Abstract |
【目的】本申請研究ではマイクロエマルションと呼ばれる数〜数十nmの球状の膜(droplet)の中に、高分子鎖を包み込んだ時の膜のダイナミクスの変化を明らかにすることを最終目的とする。平成13年度ではdroplet構造とほぼ同サイズの慣性半径を有する高分子鎖を膜内に約1本ずつ閉じ込めることが誘起する膜のダイナミクスの変化を追跡した。 【実験】1)系としてAerosol-OT(イオン性界面活性剤)、水、イソオクタン(油)、ゼラチン(高分子)を採用し、膜のダイナミクスは東大物性研のJAERI-NSEを用いてNeutron Spin Echo法により追跡した。 2)droplet構造のダイナミクスを解析する際、膜を挟んだ内相・外相の粘度比;Eが重要なパラメータとして理論的予測がなされているため、低分子物質(グリセリン)を用いてEを制御し、Eが与える膜のダイナミクス変化を実験的に見積もった。 【結果】高分子を内包するしないに関わらず、膜の緩和時間はほとんど変化しないことが判った。しかし、バルクでの粘度を用いるとEは3桁ほど大きくなっており、1k_BT程度の弾性率でゆらぐ膜が3桁硬くなるという結果を示唆するが、実際にはそれは考えにくい。このため、低分子物質を内包させることでEを制御して実験を行ったところ、Eに比例するような緩和時間の変化は見られなかった。この結果から、界面活性剤がイオン性であるがため静電反発により膜が元々硬く、高分子・低分子を詰めても、その揺らぎに大きな変化が見られないのではないかと考えている。平成14年度では非イオン性界面活性剤を用いた系で実験を行う予定である。
|
-
[Publications] Kaori Nakaya: "Morphology of Microemulsion Droplet Confining a Single Polymer Chain"Journal of the Physical Society of Japan. 70. 338-339 (2001)
-
[Publications] Kaori Nakaya: "Morphology of Microemulsion Droplet Confining a Single Polymer Chain"Studies in Surface Science and Catalysis. 132. 161-164 (2001)
-
[Publications] M.Imai, K.Nakaya, et al.: "Shear-Induced Ordering of Lamellar and Gyroid Structures Observed in a nonionic Surfactant System"European Physical Journal E. 5. 391-402 (2001)