2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740276
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
菅原 敏 宮城教育大学, 教育学部, 助手 (80282151)
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Keywords | 六フッ化硫黄 |
Research Abstract |
今年度には、大気中六フッ化硫黄濃度の高精度分析システムの開発に重点を置き、以下のことを実施した。第一に、汎用ガスクロマトグラフ(Agilent製HP6890)を、六フッ化硫黄分析用に改造し、最適な分離条件を見つけ出した。キャリアーガスには超高純度窒素を用い、さらにごくわずかのハイドロカーボン類も除去するようにトラップを用いた。汎用パーソナルコンピュータで動作する独自の波形処理プログラムを開発し、サンプル導入から、分離分析、波形処理、データ保存までを自動化することができた。分析の繰り返し精度は0.2pptv(1σ)であり、大気中の変動を捕らえるために十分な精度である。第二に、六フッ化硫黄濃度の正確な決定に不可欠な標準ガスを整備した。3〜150pptvまでの一次標準ガス7本と、1〜7pptvの作業用標準ガス3本を整備し、独自の濃度スケールを確立した。同時に、重量法で製造された高濃度標準ガスと超高純度空気を、ダイナミックダイリューション法によって希釈混合し、ゼロから5pptまでの標準ガスの連続的な製造を可能にした。これを用いて、開発したガスクロマトグラフシステムの線形応答性を確認した。第三に、開発した測定システムと標準ガスを用いて、実際の大気サンプルの系統的な観測を開始した。航空機および船舶観測に実績のある東北大学理学部大気海洋センターと協力し、日本上空の対流圏内を高度別に、また太平洋上を南北両半球にわたって緯度別に、空気試料を採集し、その六フッ化硫黄濃度の定期的な観測を始めた。特に太平洋西岸を南緯40度から北緯30度まで緯度5度ごとに観測した結果からは、明瞭な濃度の南北勾配が見られ、南北両半球の濃度差はおよそ0.1〜0.2pptv程度になることが分かった。
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