2002 Fiscal Year Annual Research Report
超高圧変成岩の流体包有物から解析するスラブ・マントル相互作用
Project/Area Number |
13740295
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
田端 寛和 日本大学, 文理学部, 助手 (80272665)
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Keywords | 超高圧変成岩 / 流体包有物 / ザクロ石 / 中国 / コース石 / 岩石・流体反応 |
Research Abstract |
今年度も、昨年度と同様に中国大別山地域の高圧・超高圧変成岩について、岩石学的研究、特に偏光顕微鏡による変成鉱物の同定と組織の観察、およびX線マイクロアナライザーによる鉱物の主要・微量元素分析を行い、変成岩生成時の温度・圧力条件の解析を継続した。その結果、超高圧型エクトガイト中のザクロ石にも結晶成長時の組成累帯構造を保持している試料もあり、Gibbs hethodによってP-T径路を求めると、時計周りの温度圧力履歴を示すことが分かった。一方で高圧型エクトガイトのザクロ石から求めたP-T径路は、圧力増加・温度低下の反時計回りの履歴を示す。この結果と各エクロガイト生成時の最高到達圧力にギャップがあること(前者で28kb、後者で18kb)から、両エクロガイト帯は地質体上、累進的に変成度が変化していくように産するが、生成場、特に生成深度を異にした変成帯が上昇過程で現在のように並置した結果であると考えられる。 また本年度は高圧・超高圧変成岩に含まれる流体包有物に対して冷却加熱ステージとレーザーICP質量分析計を使った物性・化学分析を試みた。流体包有物は化学組成上、(1)比較的塩濃度が高いH2Oに富むものと(2)塩濃度の低いH2O流体の2種類に大別できた。ただし、どちらのタイプも超高圧型・高圧型両エクロガイトに産すること、産状から判断した生成時期も明瞭な差が認められないことが分かった。また、他の超高圧変成帯から報告されているCO2に富む流体包有物は本地域では非常に希であった。このことは測定した岩石が炭酸塩鉱物を含まない、すなわち脱ガス反応が進行してもCO2が発生しなかった環境であることと調和的である。おそらく、スラブ深部環境下でも流体の発生・移動は局所的であったのかもしれない。
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