2001 Fiscal Year Annual Research Report
成長線を利用した二枚貝類の生活史の解析とその進化古生物学的応用
Project/Area Number |
13740297
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 慎一 東北大学, 総合学術博物館, 助手 (70332525)
|
Keywords | 二枚貝 / 生活史 / 成長線 / 地理的変異 / 進化古生物学 / ヒラタヌマコダキガイ / 諫早湾 |
Research Abstract |
本研究では、成長線を利用した二枚貝類の現生・化石集団の生活史の解析を行い、その地理的変異と時間的変化に関する考察を行なってきた。本年度は、仙台市郊外の蒲生干潟を調査地域として、潮間帯に生息する現生二枚貝類(イソシジミ、アサリ)を主な対象として、殻成長と生殖周期の周年変化の関係を明らかにした。本調査は、引き続き来年度も続けて行く予定である。 また、この他にも日本と韓国各地の干潟において、二枚貝類の集団標本を採集し、生活史形質の種内変異に関する調査を行なっている。本年度は、特にクチベニガイ科二枚貝のヒラタヌマコダキガイに焦点を絞り、韓国(原産地)と有明海(移入地)における生活史の種内変異を調べている。本種は近年、黄海沿岸から有明海やサンフランシスコ湾などに人為的にもたらされており、競争種が生息しない水域(例えば潮止め後の干拓調整池など)で急激に1種だけで増殖する生態的特徴を示している(佐藤,2001)。これまでに、潮止め後の諫早湾干拓地における本種の生活史の時間的変化(佐藤ほか,2001;佐藤・東,2001)に加えて、本年度は韓国セマングム地区での大規模干拓事業に伴う本種の分布・生活史の時間的変化を明らかにし、両海域での比較を行なうことで、これらの現象の普遍的事実を抽出している。そして、最終的には地質時代においても、現在の大規模干拓と同様の「潮止め」的環境変動が生じた際に、二枚貝化石集団の生活史にどのような時間変化が見られたかを明らかにしたいと考えている。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 佐藤慎一: "有明海諫早湾干拓地の貝類相-泥干潟における貝類の帯状分布-"第四紀研究. 40・1. 43-51 (2001)
-
[Publications] 佐藤慎一ほか3名: "有明海諫早湾干拓地の貝類相-調整池における貝類相の時間的変化-"第四紀研究. 40・2. 85-95 (2001)
-
[Publications] 佐藤慎一, 東幹夫: "諫早湾における貝類の大量死滅"月刊海洋. 33・6. 445-449 (2001)
-
[Publications] 佐藤正典, 東幹生, 佐藤慎一, 加藤夏採, 市川敏弘: "諫早湾・有明海で何がおこっているのか?"科学. 71. 882-894 (2001)
-
[Publications] 佐藤慎一: "東北地方の汽水湖に見られる希少な二枚貝類"日本ベントス学会誌. 56. 58-58 (2001)
-
[Publications] 佐藤慎一: "絶対成長"池谷仙之・棚部一成(編):古生物の科学3 古生物の生活史. 3. 46-72 (2001)