2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740308
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
奥地 拓生 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助手 (40303599)
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Keywords | 高温高圧実験 / 微分干渉顕微鏡 / H2O / 融解曲線 |
Research Abstract |
ダイアモンドアンビルセルを用いた顕微鏡その場観察実験に対する新たな手法として、透過微分干渉観察法を導入するための研究を行った。 試料としたH2Oは、高圧力下で多数の安定な結晶相を持つ物質である。その研究は赤外・ラマン等の分光学的手法により活発に行われている。一方で比較的簡単に行うことが可能な顕微鏡観察はあまり活発ではない。その理由は、全ての相が無色透明であり、像にコントラストがつきにくいこと、相の違いによる屈折率差が小さいこと、そしてアンビルを光線が通過するときの収差によって像が劣化することが挙げられる(Takemura et al.,1989)。 たとえば氷の融解を顕微鏡下で判定する場合、圧力増加につれて液相と固相の間の密度差が減少し、よって屈折率差も減少する。その結果、10GPa程度の圧力以上では明視野像による融解判定が困難になる。本研究ではこの問題を解決するために、試料の微細な屈折率の違いを空間微分の形で強調することのできる、透過微分干渉法の応用を試みた。 対物レンズには平板光学窓の収差補正環付きで透過微分干渉観察に対応したタイプの中から、7mmの作動距離を持つNikon Plan Fluor ELWD 20xC(N.A.=0.45)を用いた。これを試料に7mmまで近づけ、かつ光束をさえぎらないために、上部を詰めて開口角を60度に拡げたピストンとシリンダーを製作した。また試料を外部加熱することからくる熱損傷を避けるために、対物レンズに合わせて設計した水冷ジャケットを取り付けた。ピストンに荷重を付加する加圧板についても、透過照明光(N.A.=0.3)を遮らないように開口を拡大したものを製作した。さらに視野絞りやコンデンサーレンズの位置決め機構を製作し、照野を100μmにまで絞った状態で、視野絞り像を試料面に結像させるケーラー照明を実現した。 以上の作業を行った後に高温高圧その場観察実験を行った。その結果、圧力10GPa、温度410℃までの条件で氷VII試料に対して観察を行い,加熱に伴って氷が融解する様子を明瞭に観察することができた。2種の結晶を用いた蛍光法により、温度および圧力を同時に決定した結果、得られた融解曲線は最近の結果と良く一致した(Datchi et al.,2000)。
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