2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740334
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Fukui University of Technology |
Principal Investigator |
砂川 武義 福井工業大学, 工学部, 講師 (60329456)
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Keywords | 電子付着反応 / マイクロ波加熱 / 電子付着測度定数 / 活性化エネルギー / ハロゲン化合物 / クロロホルム / ハロゲン化シクロヘキサン / 電子付着断面積 |
Research Abstract |
従来、室温領域以下における電子付着過程の研究は非常に少なく、その領域の解明が求められている。本研究は、低温領域を測定可能とする測定法を新たに構築し、媒体気体温度を150K〜450Kの領域におけるハロゲン化合物の電子付着反応を測定し、その詳細を明らかにすることを目的としている。測定法はパルスラジオリシス・マイクロ波加熱空洞法を基とし、検出器であるマイクロ波空洞共振器(マイクロ電子製)を新しく設計した。媒体気体の温度変化は乾燥窒素を液体窒素もしくはヒータにより目的の温度にし、それを空洞共振器内の試料セルへ吹きつけることによりおこなった。空洞共振器は断熱材で覆われ、結露を防ぐため、乾燥窒素で空気を置換できるようにしている。媒体気体の温度を測定するために、クロメル・アルメル熱伝対およびPt抵抗体等数種類の温度計を用いた。試料気体としてクロロホルムを選び測定した。媒体気体温度は150K〜450Kで測定した。ここで、250K以下の領域における測定は大きな誤差を含むため、250K〜450Kの領域を中心に行った。その測定より得られた速度定数をアレニウスプロットし、活性化エネルギーを求めた。その結果約0.13eVであった。これは、従来報告された結果と良い一致を示している。また、平均電子エネルギーを熱エネルギーから約2eV変化させ、電子付着速度定数の平均電子エネルギー依存の結果を測定したところ、約0.3eVに極大を持っ結果が得られた。これらのことから、本装置が媒体気体温度及び平均電子エネルギーを独立に変化させ測定することが可能であることが示された。次に、電子付着過程が不明瞭であるハロゲン化シクロヘキサン化合物c-C_6H_<11>X (X=Cl,Br, I),trans-1,2C_6H_<10>Cl_2,trans-1,2 C_6H_<10>Br_2の5種類を対象とし、測定を行った。各化合物の室温における速度定数k(cm^3s^<-1>)はく1x10^<-13>,2.6x10^<-11>,9.4x10^<-9>,2.2x^<-10>,5.6x10^<-8>であった。c-C_6H_<11>I,trans-1,2 C_6H_<10>Br_2の電子付着速度定数の平均電子エネルギー依存の結果は、それぞれ熱エネルギー及び約0.2eVに極大を持つ結果が得られた。この結果を電子付着断面積に変換したところ、c-C_6H_<11>IはOeV,trans-1,2C_6H_<10>Br_2は0,0.1eVに極大を示すことがわかった。 今後の研究の展開として、ハロゲン化合物(CF_3Br,CF_2Cl_2,CFCl_3)等の試料気体に対して、本測定法を適用し、各媒体気体温度における、速度定数及び断面積の決定を行いその詳細を明らかにする予定である。
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