2001 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化炭素の挿入を伴う触媒的アルキン-アルキンカップリング反応の開発
Project/Area Number |
13740356
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柴田 高範 岡山大学, 理学部, 助教授 (80265735)
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Keywords | イリジウム錯体 / 一酸化炭素 / ジイン / カップリング / シクロペンタジエノン / ホスフィン |
Research Abstract |
一酸化炭素の挿入を伴うアルキン-アルキンカップリング反応は、活性合成中間体であるシクロペンタジエノンを与える有用な反応である。しかしかながら、生成物であるシクロペンタジエノンが4π化合物として金属を捕捉し、η^4-金属錯体となることから、これまで触媒的アルキン-アルキンカップリング反応の報告例がなかった。 一方筆者は、ジコバルトオクタカルボニル錯体を用い、かつ末端に嵩高いトリアルキルシリル基を有するアルキンを用いることにより、一酸化炭素の挿入を伴うアルキン-アルキンカップリング反応が速やかに進行し、直接的かつ高単離収率でシクロペンタジエノンを与えることを既に報告している。そこでこの研究で得られた知見を足がかりに、用いる金属錯体の触媒化を検討した結果、イリジウム錯体が、一酸化炭素の挿入を伴うカップリング反応に極めて有効な触媒であることを見いだした。種々のジインに対し、一酸化炭素常圧下、触媒量(5mol%)のイリジウムホスフィン錯体を作用させると、分子内カップリング反応が効率的に進行し、種々の二環性シクロペンタジエノンが高収率で得られた。 これまで、ヒドロホルミル化反応など遷移金属錯体を用いる一酸化炭素の挿入を伴う触媒的反応が数多く報告されているが、一般に一酸化炭素加圧条件で反応が進行する。一方本反応は、一酸化炭素常圧下で進行するのみならず、低圧下(0.2気圧)でより速く進行する。この結果は、本反応のメカニズム考察の研究を進める上で、ひとつの指針となる重要な知見である。今後は合成変換を視野に入れ、より付加価値の高いシクロペンタジエノンの合成を目指し、反応条件のさらなる最適化、一般化を検討する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] T.Shibata, K.Yamashita, H.Ishida, K.Takagi: "Iridium Complex Catalyzed Carbonylative Alkyne-alkyne Coupling for the Synthesis of Cyclopentadienones"Organic Letters. 3・8. 1217-1219 (2001)