2001 Fiscal Year Annual Research Report
新規有機金属錯体被膜金ナノクラスター創成を目指した均一系合成法の開発
Project/Area Number |
13740381
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西岡 孝訓 大阪市立大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10275240)
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Keywords | 金 / ナノクラスター / チオール / ジスルフィド / 均一系 |
Research Abstract |
ジクロロメタン中で塩化トリフェニルホスフィン金錯体を、1-ドデカンチオールあるいは1-ドデカンジスルフィド存在下で、ボランt-ブチルアミンを用いて還元することにより、完全な均一系でドデカンチオレート保護金ナノクラスターを合成することに成功した。この反応においてジスルフィドを用いた場合には、チオールを用いた場合と比較して反応時間が長くなる。そして、この反応系では、用いるアルキルチオールの鎖長や濃度が生成するナノクラスターのサイズに影響しないこと、還元剤の濃度が大きくなるとより小さいナノクラスターを与えることを確認した。また、この完全均一系反応において、少量のアミンを加えることで生成するナノクラスターの粒径分布が飛躍的に小さくなることを見いだした。塩基性の低いアミンでは、このような効果が無いことから、アミンの役割は還元時に生じるプロトンを取り除き、還元反応を加速することと考えられる。これにより、核生成反応が促進されるとともにアミンが消費されるまでの短時間で終了し、さらにアミン消費後には、還元剤に比較的弱いボランt-ブチルアミンを用いているため、ゆっくりとした還元で核成長反応が優先的に起こり粒径分布が小さくなるものと考えられる。この結果を利用し、加えるアミンの量を多くすることで、生成する核の量を増やし、その結果、生成するナノクラスターの粒径を小さくする事にも成功した。さらに、この核成長過程を検討するため、塩化トリフェニルホスフィン金錯体を金のソースとして用い、これを還元することでナノクラスターの核成長反応を試みた。その結果、金錯体と還元剤のみでは、核の生長は起こらないことがわかった。現在、この反応についてはさらに検討を行っている。
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