2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13740387
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松下 未知雄 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助手 (80295477)
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Keywords | 磁性 / キンヒドロン / 電荷移動 / 水素結合 / 超分子 / 分子素子 / 多重項 / 光誘起 |
Research Abstract |
平成13年度は、すでに見出されている水素結合性電荷移動錯体について、その光照射下における、電荷移動と連動した結晶内プロトン移動反応に関する研究を行った。 1)IRとUVの同時追跡による分子構造変化の追跡 紫外-可視吸収スペクトル及び赤外吸収スペクトルを用いて光誘起反応の追跡を行ったところ、光照射により電荷移動吸収帯が現れると共に、赤外吸収スペクトルが変化することが分かった。密度汎関数法による赤外吸収スペクトルのシミュレーションから、この反応の際にヒドロキノンからプロトンと電子が引き抜かれたセミキノンラジカルが生成していることが示唆された 2)単結晶X線結晶構造解析による光照射前後の結晶構造変化の追跡 単結晶の結晶構造解析を行うことにより、光照射下における構造変化を詳細に追跡することを計画したが、光照射前後の結晶の解析結果は誤差の範囲内で一致し、有意な差は見られなかった。このことは、光照射によって生成するラジカル種が強く着色するために、結晶内部まで光が浸透しないためと考えられる。今後、結晶を薄片状に整形し、表面の割合を増加させることにより、光反応生成物の構造解析を成功させたい。 3)重水素化によるプロトン移動への変調 プロトン移動反応に対する同位体効果と、IRのシミュレーションにおける帰属の信頼性を向上する目的で、ヒドロキノン上の全てのプロトンを重水素に置換したヒドロキノン-d6を用いて、アクセプター分子との間に結晶を調製し、同様の光反応が生じることを確認した。今後、単結晶の調製と構造解析を行い、軽水素体との比較を行うことで、水素結合と電荷移動相互作用の関連を調べる予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 菅原 正, 松下未知雄: "超分子化学は何を目指すか"化学と教育. 50巻2号. 94-97 (2002)
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[Publications] J.Zhang, M.M.Matsushita, X.X.Kong, J.Abe, T.Iyoda: "Photoresponsive Coordination Assembly with a Versatile Logs-Stacking Channel Structure Based on Redox-Active Ligand and Cupric Ion"Journal of the American Chemical Society. 123. 12105-12106 (2001)