2001 Fiscal Year Annual Research Report
遷移金属ヒドリド錯体を用いるメチレンシクロアルカン類の炭素一炭素結合の活性化
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13740412
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
西原 康師 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (20282858)
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Keywords | メチレンシクロアルカン / 炭素-炭素結合活性化 / 遷移金属ヒドリド錯体 / 小員環化合物 / ロジウム / イリジウム |
Research Abstract |
本研究は,遷移金属ヒドリド錯体を用いることにより小員環化合物であるメチレンシクロアルカン類の炭素-炭素結合を活性化し,最終的にはそれらの反応を用いて新規の高い有機合成反応へ応用していくことを目的としている。 まず,2, 2-ジフェニル-1-メチレンシクロプロパンとロジウムヒドリド錯体の反応により,室温では3員環が開裂した結果3-ブテニルロジウム錯体が生成し,さらに加熱条件によりフェニル基上の炭素-水素結合が活性化されて2-プロペニル-o-フェニレンロジウム錯体が生成する。これら一連の反応は,メチレンシクロプロパンのもつ環の歪みエネルギーのよって環の解裂,つまり炭素-炭素結合の活性化により起こったと解釈できる。 さらに,その素反応を有機合成反応に応用した。ロジウムまたは,白金錯体を触媒として2, 2-ジフェニル-1-メチレンシクロプロパンとトリエチルシランとの反応をおこなってヒドロシリル化生成物を得た。興味深いことにロジウム錯体を触媒として用いたときにはシクロプロパン環が開裂して開環するのに対して,白金錯体を触媒として用いた場合には,3員環が開環しないままでヒドロシリル化生成物が得られた。 本研究では,遷移金属ヒドリド錯体を用いるメチレンシクロアルカン類の炭素-炭素結合の活性化について検討し,それを利用した有機合成反応を達成した。異なる金属を用いる選択的なメチレンシクロプロパン類のヒドロシリル化反応により,本研究で明らかにした量論的な反応における知見を元に様々な有機合成反応への応用が期待できるので,本研究により小員環化合物の量論的,触媒的な炭素-炭素結合の活性化は重要な結果を与えたと言える。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Nishihara, M.Takemura, A.Mori, K.Osakada: "Reaction of Alkynylsilanes with cucl in Polar Solvents Leading to Alkynyl Group Transfer from Si to Cu"Journal of Orgaumetallic Chemistry. 620. 282-286 (2001)
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[Publications] Y.Nishihara, C.Yoda, K.Osakada: "Hydride-rhodium (I) and-iridium (I) Complex Promoted Ring-Opening Isomerization of Unsymmetrical Substituted Methylenooyclo propanes"Organometallics. 20-11. 61-67 (2001)
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[Publications] Y.Nishihara, T.Kato, J.Ando, A.Mori, T.Hiyama: "Home-coupling Polycondensation of Bis(alkynylsilanes) Mediated by copper(I) chlorate"Chemistry Letters. 10. 950-951 (2001)