2002 Fiscal Year Annual Research Report
フーグスティン塩基対形成型DNA蛍光プローブに基づく点突然変異遺伝子分析法の開発
Project/Area Number |
13740417
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西沢 精一 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40281969)
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Keywords | フーグスティン / 塩基対 / 蛍光 / 検出 / 点突然変異 / SNPs / プローブ / AP site |
Research Abstract |
本研究は,SNPs(Single Nucleotide Polymorphisms)蛍光検出法の開発を目的とする。本研究では,特に,DNAがフーグスティン型の水素結合形成により三重らせん構造をとることに着目し,フーグスティン型塩基対形成部位を有する蛍光性水素結合型レセプター分子の合成を行うとともに、DNA脱塩基部位を利用する核酸中一塩基認識法を開発した。つまり,脱塩基型合成DNAをハイブリダゼーションさせることで標的塩基周辺に意図的に疎水場空間を構築させた後,同空間中において水素結合型レセプターとの錯形成を行うというものである。 水素結合型レセプターとして二つの芳香環を持つナフチリジン,キノリン誘導体を合成し,各レセプター分子添加前後におけるDNA二重鎖の融解温度(Tm)を測定した。その結果,Tmの著しい増加が観測されることから,レセプター分子が脱塩基部位中において核酸塩基を認識し得ることが示唆された。さらに興味深いことは,Gと相補的な3点の水素結合部位を持つナフチリジン誘導体が,CやTのピリミジン塩基に対して高い選択性を示す点である。このようなバルク溶液系とは異なる反応性は,本系における核酸認識が水素結合形成と脱塩基部位の空間的な規制による協同的な効果により達成されているためで,特に同空間の上下に位置する核酸塩基とのスタッキング相互作用が大きな役割を果たしていると考察している。CDスペクトル測定およびMacroModelを用いた分子力場計算の結果も上記考察を支持するものであった。また、ナフチリジン誘導体を用いることで、C特異的な蛍光検出を達成した。 以上のように本研究では,DNA脱塩基部位(AP site)を利用することにより、水素結合型レセプターによる点突然変異蛍光検出法の開発に成功した。本研究で提案する脱塩基型合成DNAを用いる核酸塩基認識法は,脱塩基部位やレセプター分子を適切に設計・合成することで種々の塩基配列に適用可能であり,簡易且つ迅速な遺伝子診断法としての展開が期待できる。
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