2001 Fiscal Year Annual Research Report
海産甲殻類の生活史進化:ヤドカリ類の生活史形質の変異と生物・物理条件の関係
Project/Area Number |
13740443
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
和田 哲 高知大学, 海洋生物教育研究センター, 助教授 (40325402)
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Keywords | 甲殻類 / 生活史進化 / 繁殖形質 / ヤドカリ / 種間比較 / 地理的変異 |
Research Abstract |
ヤドカリ類の繁殖フェノロジー、成熟サイズ、抱卵期間、産卵数、幼生孵出数に関して調査をおこなった。高知県中央部に位置する浦ノ内湾井尻の砂浜・転石海岸でおもに採集されたホンヤドカリ、ユビナガホンヤドカリ、トゲトゲツノヤドカリでは、ホンヤドカリとユビナガホンヤドカリではそれぞれ抱卵メスが10月から5月まで、10月から4月まで観察された。また両種とも11月から4月にかけて野外で交尾前ガードペアが観察され、メスは最小サイズクラスから抱卵率が50%を超えていた。トゲトゲツノヤドカリの抱卵メスは4月から9月まで観察された。本種ではSL1.98mm以下のメスが抱卵することはなかった。また抱卵期間は水温依存的に変化し、ユビナガホンヤドカリとホンヤドカリでは水温20℃で両種とも約20日だった。全種のメスは年複数回産卵であることが確認された。高知県西端に位置する羽根岬の岩礁海岸ではホンヤドカリ属4種、サンゴヤドカリ属4種、イソヨコバサミ、ホンドオニヤドカリが採集された。アカシマホンヤドカリでは10月から4月まで、ホンヤドカリとカノコケアシホンヤドカリでは11月から3月まで野外で交尾前ガード個体が観察され、同様の時期に抱卵メスが出現した。一方ヤマトホンヤドカリの抱卵メスは周年にわたって観察されたが交尾前ガード個体を発見することはできなかった。イソヨコバサミ、ホンドオニヤドカリおよびサンゴヤドカリ4種は夏を中心に抱卵メスが出現したが、各種のサンプル数が少ないため時期の特定と産卵回数の推定には至っていない。同様の調査を福岡県和白干潟、秋田県男鹿半島で継続中である。また、高知県沿岸に優占するホンヤドカリ、ユビナガホンヤドカリ、アカシマホンヤドカリについて産卵数、幼生孵出数と産卵直前脱皮の有無との関係を調査中である。
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