2002 Fiscal Year Annual Research Report
オジギソウ屈曲運動におけるチロシン脱リン酸化とアクチン繊維ダイナミクスの解析
Project/Area Number |
13740461
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
神澤 信行 上智大学, 理工学部, 助手 (40286761)
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Keywords | アクチン / チロシンリン酸化 / Kinase / phosphatase / Actin binding protein |
Research Abstract |
1.形態観察:昨年度の電子顕微鏡観察により、アクチン細胞骨格の運動前後における詳細な状態変化が明らかになり、現在論文としてまとめている。本年は蛍光観察する技術について新たな取り組みを行った。植物の様に細胞質や細胞壁が混在する組織では、凍結切片法による損傷の少ない切片作りが困難である。一方、パラフィンの使用は高温処理に伴う抗原性の低下が問題となる。そこで植物組織の切片作製法として近年利用され始めた、低融点ワックス法を取り入れ解析を試みた。その結果、これまで凍結切片法では観察することの出来なかった、細胞内小胞周囲にもアクチンの細胞骨格が張り巡らされている様子が観察された。現在、運動前後でのアクチン細胞骨格ダイナミクスの再検討を行っている。 2.アクチン結合タンパク質:当初目的としていたCa^<2+>濃度依存的なアクチン切断タンパク質に関しては、その生化学的な性質の部を論文として報告した。また、昨年度の成果からアクチン束化因子の関与が示唆され、本年度はその検索、精製を試みたが、現在までに候補タンパク質の精製は出来ていない。しかし、他の既知のアクチン結合タンパク質と免疫交差性試験の結果、束化因子としてられるビリンと免疫交差するペプチドの存在が確認できた。 3.リン酸化・脱リン酸化酵素:アクチンのリン酸化状態を解析するために、重合能を維持したアクチンをprofilinとの親和性を利用したカラムにより精製した。精製アクチンのリン酸化状態をMS/MS解析により行った。その結果、14個存在するTyr残基の内、解析できた7個についてはリン酸化が認められなかった。上述の精製法には収量の点に問題があり、手法の改善とリン酸化部位の同定を続けている。リン酸化・脱リン酸化酵素に関しては、当初目的としていた新奇探索をあきらめ、他の植物で知られる酵素類似体のクローニングに取り組んでいる。現在部分クローンが済んでいるため、今後全長クローニングと発現、機能解析を行う予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yamashiro, Sawako: "The gelsolin/fragmin family protein identified in the higher plant Mimosa pudica"Journal of Biochemistry (Tokyo). 130. 243-249 (2001)
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[Publications] 神澤 信行: "植物に見られる運動 オジギソウを中心として"バイオサイエンスとインダストリー. 60. 11-16 (2002)
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[Publications] Kanzawa, Nobuyuki: "The plant movement and its related proteins"Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan. (印刷中). (2003)
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[Publications] Kanzawa, Nobuyuki: "Seismonastic movement in plants"Flash polymers and hydrogels. (印刷中). (2003)