2001 Fiscal Year Annual Research Report
形質転換緑藻クラミドモナスを用いた光化学系IIの構造と機能の解析
Project/Area Number |
13740467
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
皆川 純 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (80280725)
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Keywords | 光合成 / クラミドモナス / 緑藻 / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
光合成光化学系IIのD1タンパク質のC末端のプロセッシングは、酸素発生Mn複合体の形成に必須である。このD1タンパク質のC末端付近のアミノ酸残基の性質が、プロセッシング自体やMn複合体の機能に与える多様な影響を詳しく調べるため、本研究ではプロセッシング後のC末端の2残基Leu343(-2位置)とAla344(-1位置)にタンパク質としての局所立体構造に大きな変化をもたらしうるPro残基をそれぞれ導入した。その効果を検討したところ以下の結果を得た。1)変異体Leu343→Pro(LP変異体)は光独立栄養条件で生育したが、C末端残基の置換体Ala344→Pro(AP変異体)は光従属栄養条件でした生育しなかった。2)熱発光の測定より、LP、AP両変異体ともS状態の酸化還元電位が低下していることがわかった。3)蛍光収率のキネティクス解析より、LP変異体は電荷再結合の速度に若干の低下が見られ、AP変異体はP_<680^+>の再還元速度に大きな低下が見られることがわかった。4)EPRスペクトルの解析より、LP変異体は正常なマルチライン信号を示すのに対し、AP変異体ではマルチライン信号が見られず、S3スプリット信号が見られることがわかった。以上の結果より、Mn複合体の機能においてはC末端-2位置の残基であるLeu343に対する置換の効果よりも、C末端-1位置の残基であるAla344に対する置換の効果がより大きく、-1位置残基がMn複合体の構造/機能に決定的な役割りを果たしていると結論した。
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