2001 Fiscal Year Annual Research Report
雌雄異株植物の擬似性転換現象を利用した性分化開始機構の顕微解剖学的解析
Project/Area Number |
13740469
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松永 幸大 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助手 (40323448)
|
Keywords | 雌雄異株植物 / 寄生 / 花粉 / 雌雄性 |
Research Abstract |
アメリカストックカルチャーセンターATCCよりクロボ菌Ustilago violaceaを取り寄せ培養を行った。A1タイプとA2タイプを顕微鏡下で接合させ、2倍体を形成することを確認した。A1タイプとA2タイプを宿主であるナデシコ科草本雌雄異株植物ヒロハノマンテマに感染実験を行った。日本系統、アメリカ系統に感染実験を行った結果、アメリカ系統に対する感染効率が高く、今後の実験にはアメリカ系統を用いることにした。感染部位の検討を播種後各ステージの茎頂及び葉に対して行いクロボ菌Ustilago violaceaのナデシコ科草本雌雄異株植物ヒロハノマンテマに対する感染法を確立した。 感染個体を走査電子顕微鏡および実体顕微鏡で観察して以下の感染個体の特徴を見出した。 1.感染雌株の蕾においては分化が抑制された雄蕊が分化した。成熟した葯の中には花粉の代わりにクロボ菌の胞子が観察された。雌蕊の発達は悪く、蜜腺における分泌物が多量であることも判明した。 2.感染雄株においても成熟した葯の中には花粉の代わりにクロボ菌の胞子が観察された。 3.感染した個体の花糸は導管と師管が形態学的に野生株と異なることが示された。 このような形態学的な差を生み出す機構を遺伝子発現の側面から解析するために、細胞分裂特異的な発現を示すサイクリンおよびヒストン遺伝子を単離した。各遺伝子をプローブにin situ hybridization解析を行って花芽原基形成過程における転写産物蓄積変化を調べた。その結果、分化が抑制された器官においては細胞分裂特異的遺伝子の発現が特異的に低下していることが判明した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Matsunaga S., Kawano S.: "Sex determination by sex chromosomes in dioecious plants."Plant Biology. 3. 481-488 (2001)
-
[Publications] Kejnovsky E, Vrana J, Matsunaga S, et al.: "Localization of male-specifically expressed MROS genes of Silene latifolia by PCR on flow-sorted sex chromosomes and autosomes"Genetics. 158. 1269-1277 (2001)
-
[Publications] Ito M., Araki S., Matsumaga S. et al.: "G2/M phase-specific transcription during the plant cell cycle is mediated by cMyb-like transcription factors."Plant Cell. 13. 1891-1905 (2001)
-
[Publications] Makao S., Matsunaga S. et al.: "RAPD isolation of a Y chromosome-specific ORF in a dioecious plant, Silene latifolia."Genome. (In press). (2002)
-
[Publications] Uchida W., Matsunaga S. et al.: "Interstitial telomere-like repeats in the genome of Arabidopsis thaliana."Genes Genet. Syst.. (In press). (2002)
-
[Publications] 松永幸大(分担執筆): "植物学がわかる"朝日新聞社. 176 (2001)