2001 Fiscal Year Annual Research Report
コケ植物を用いた葉緑体増殖機構の分子細胞生物学的解析
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13740473
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
高野 博嘉 熊本大学, 理学部, 助教授 (70242104)
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Keywords | 葉緑体 / 葉緑体分裂 / コケ植物 / 変異体ライブラリー / 光合成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、コケ植物の変異体ライブラリーより葉緑体分裂異常株をスクリーニングすることによって、葉緑体分裂に関する新規遺伝子群を明らかにすることにある。基生研の長谷部教授より分与していただいたヒメツリガネゴケのタグ付き突然変異体ライブラリーを用い、細胞中の葉緑体数が正常株と異なる変異体株の単離を行った。3600株の細胞について顕微鏡観察によりスクリーニングを行い、変異体候補2株(492および11株)を単離した。両株共、野生株と比較して葉緑体が肥大しており、数が少なかった。492株について細胞1個当りの葉緑体数を野生株と比較した。細胞1個当りの葉緑体数の平均は、野生株では、クロロネマで48個、カウロネマで42個、茎葉体で38個であった。一方492株では、それぞれ25個、37個、17個であった。492株のクロロネマと茎葉体では、1細胞当りの葉緑体数が半分以下になっていたにも関わらず、カウロネマでは有意差がなかった。このことは、この株の変異原因遺伝子が分化の特定の時期に働く棄緑体数のレギュレーターである可能性を示唆している。11株はクロロネマで平均10個の葉緑体しか持っていないが、細胞に影響があり分化誘導ができなかっため、それ以上の解析は行わなかった。492株のクロロネマの次頂端細胞において、以下の解析を行った。細胞の体積と表面積は、492株と野生株とで変化がなかった。一方、492株の個々の葉緑体の体積は野生株の約1.4倍であり、細胞の体積に占める葉緑体全体の体積は、野生株12%に対して、492株は9%と3/4になっていた。また、細胞の表面積に占める葉緑体の割合を比較すると、492株、野生株とも約18%で等しくなっていた。このことは葉緑体数が少ない場合、葉緑体が巨大化することにより光に対する受容面積を広げ、光合成効率を上げていることを示唆している。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takano, H., Abe, T., Sakurai, R., Kawano, S., Sasaki, N., Kuroiwa, T.: "The complete DNA sequence of the mitochondrial genome of Physarum polycephalum"Mol. Gen. Genet.. 264. 539-545 (2001)
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[Publications] Toda, K., Takano, H., Nozaki, H., Kuroiwa, T.: "The second serine acetyltransferase, bacterial-type O-acetylserine (thiol) lyase and eukaryotic-type O-acetylserine (thiol) lyase from the primitive red alga Cyanidioschyzon merolae"J. Plant Res. 114. 291-300 (2001)
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[Publications] Nozaki, H., Takahara, M., Nakazawa, A., Kita, Y., Yamada, T., Takano, H., Kawano, S., Kato, M.: "Evolution of rbcL grop IA introns and intron open reading frames within the Colonial Volcocales (Chlorophyceae)"Mol. Phylog. Evol.. (in press). (2002)
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[Publications] Eguchi, S., Takano, H., Ono, K., Takio, S.: "Photosynthetic Electron Transport Regulates the Expression of the Protochlorophyllide Oxidoreductase Gene in the Liverwort, Marchantia paleacea var. diptera"Plant Cell Physiol.. (in press). (2002)