2001 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトと高等霊長類におけるRh式血液型の遺伝子構成解析
Project/Area Number |
13740495
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
數藤 由美子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (70313202)
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Keywords | Rh式血液型 / fiber-FISH法 / ゲノム再配列 |
Research Abstract |
本研究の予備的実験で既にfiber-FISH法とRH遺伝子プローブを開発し、日本人健常個体のRh血液型抗原遺伝子領域のゲノム構成解析を行い、 (1)代表的Rh(+)表現型個体では、2遺伝子(RHCE、RHD)が第1番染色体短腕上の約200kbの領域内に近接して逆向きに配列していること、 (2)代表的Rh(-)表現型個体ではRHD遺伝子が完全に欠失していることを証明し、 (3)PCR法によるDNAタイピングではRHD遺伝子(+)だが血清学的にRh(-)と判定された3個体においては複雑な遺伝子構成を見出し、欠失、重複、組換えといったゲノム再配列が生じることで遺伝子発現の異常がもたらされることを示した。 本年度は(3)について新たに固体数を増やし、血清学的タイピング、PCR法によるDNAタイピング、fiber-FISH法によるゲノム構成解析を行った。その結果、血清学的表現型と遺伝子構成に特定の関連はみられないものの、様々なゲノム再配列と、1個体に複数種類の細胞集団が存在するモザイクを見出し、このゲノム領域は多様性に富むことが明らかとなった。来年度においては霊長類ゲノムについて解析し進化的考察を行うとともに、多様性を生じる原因を調べていく。 Rh表現型は集団により違いがみられる。Rh(-)は白人では比較的出現頻度が高くそのほとんどがRHD遺伝子の欠損である。従来の報告をふまえると日本人ではRh(-)の頻度は低いがその30%近くの固体がRHD遺伝子の少なくとも一部を持っているといえる。本年度はさらに韓国人、南アフリカ共和国黒人について日本人と同様の解析を行った。その結果韓国人では日本人と同様な結果が得られ、黒人ではRh(-)の原因は、RHD欠失・エクソン内挿入によるフレームシフト、およびRHD遺伝子のRHCE遺伝子との置き換わりであるとする最近の報告を裏付ける結果が得られた。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Shiina, T.: "Physical mapping of 3.7 MB and genome sequencing of 1.1 Mb in the human chromosome lq22-q23 region paralogous to the 6p21.3 HLA region : the CD1 genes, new members of olfactory receptor"Cytogenetics Cell Genetics. 92. 48 (2001)
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[Publications] Shiina, T.: "Genomic anatomy of a premier major histocompatibility complex paralogous region on chromosome lq21-q22."Genome Research. 11. 789-802 (2001)
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[Publications] Osada, N.: "Assignment of 118 novel cDNAs of cynomolgus monkey brain to human chromosomes."Gene. 275. 31-37 (2001)
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[Publications] Fujiyama, A.: "Construction and analysis of a human-chimpanzee 2ee comparative clone map."Science. 295. 131-134 (2002)
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[Publications] 数藤由美子: "ヒト6番染色他の進化-MHCを中心として-"MHC. 7. 211-218 (2001)