2001 Fiscal Year Annual Research Report
局在化軌道を活用した高速化第一原理分子動力学法の開発と結晶成長の原子制御への応用
Project/Area Number |
13750002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
久保 百司 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90241538)
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Keywords | 局在化軌道 / 高速化 / 第一原理分子動力学法 / 結晶成長 / 原子制御 / 表面化学反応 / 電子移動 |
Research Abstract |
研究代表者は、結晶成長過程の分子シミュレーションの重要性をいち早く認識し、世界に先駆けて酸化物のエピタキシャル成長をシミュレーションすることが可能な分子動力学計算プログラムを開発し、本プログラムが様々な酸化物薄膜の3次元構造予測に有効であることを示している。しかし、残念ながら上記の方法では化合物半導体の結晶成長過程をシミュレーションすることはできない。これは、化合物半導体の結晶成長では表面化学反応が支配的であるため、経験的ポテンシャルに基づく古典分子動力学法では扱うことができないからである。それを可能とする手段として第一原理分子動力学法が存在するが、計算時間の関係上第一原理量子分子動力学法を用いて結晶成長シミュレーションを行うことは全く不可能である。そこで、本研究では局在化軌道を活用することによって高速化した第一原理量子分子動力学計算手法を開発することを目的とする。 本年度は、局在化軌道を用いた高速化アルゴリズムの定式化に成功し、実際に研究代表者らが開発済みの量子分子動力学計算プログラムColorsに組み込むことに成功した。このプログラム開発により約30倍の高速計算を実現することに成功した。これは1ヶ月かかる計算をたったの1日で終了できることを意味し、画期的な進歩と言える。さらに本プログラムをMgO(001)面のホモエピタキシャル成長過程やMgO(001)面上のPd微粒子の結晶成長プロセスに応用し、従来の古典分子動力学法では不可能であった電子移動を伴う結晶成長シミュレーションを世界的にも初めて実現することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Yokosuka et al.: "Development of New Tight-Binding, Molecular Dynamics Program to Simulate Chemical-mechanical Polishing Processes"Japanese Journal of Applied Physics. (印刷中).
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[Publications] S.Takami et al.: "The Fate of a cluster Colliding onto a Substrate-Dissipation of Translational Kinetic Energy of the Cluster"Journal of Nanoparticle Research. (印刷中).
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[Publications] H.Tamura et al.: "Effect of S and O on the Growth of CVD Diamond(100) Surfaces"The Journal of Chemical Physics. 115. 5284-5291 (2001)
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[Publications] M.Kubo et al.: "Atomistic Crystal Growth, Simulation of Metal Oxide Materials"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 26. 989-992 (2001)
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[Publications] H.Zhou et al.: "Quantum Chemical Calculations of Sulfur Doping Reactions in Diamond CVD"Japanese Journal of Applied Physics. 40. 2830-2832 (2001)
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[Publications] T.Inaba et al.: "Computational Chemistry Study on Crystal Growth Process of InGaN/GaN"Japanese Journal of Applied Physics. 40. 2991-2995 (2001)