2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | 東京商船大学 |
Principal Investigator |
大貫 等 東京商船大学, 商船学部, 助手 (60223898)
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Keywords | ラングミュア・プロジェット膜 / TTF / 分子エレクトロニクス / 電荷移動錯体 / FET |
Research Abstract |
本研究は、電気伝導性を有するTTF誘導体電荷移動塩LB膜の電子物性が外部電場によってコントロールを行い、新しい電子デバイスの開発を目指すものである。まず始めに、膜に外部電場を印加するため、FET構造を有する基板の作成を行った。これは、ゲート電極が発生する電場を非常に薄い絶縁膜を通じて膜に印加することで、ソースとドレイン電極間の膜中のキャリア数をコントロールするものである。このような素子動作のためには良質なゲート絶縁膜の作成がカギとなるが、我々はSchonら(ルーセントテクノロジー社、米国)の報告を参考に、酸化アルミニウム絶縁膜をスパッタ成膜する方針で行った。試行錯誤の末に、サファイアを基板として成膜を行うとピンホールの比較的少ない良質な絶縁層が成膜されることを見いだし、この上にパターニングされたソースおよびドレイン金電極を蒸着法で作成した。このパターニングにはメタルマスクを用いたが、さまざまな電極パターン試作の後に、最終的には10x10mm基板上に5組のソース、ドレイン電極を作成することで、1基板あたりの歩留まりを改善する設計とした。このようにして作成された基板上にTTF系分子であるEDT-TTFとステアリン酸の混合LB膜を成膜し、ゲート電極に電圧を印可して、FET特性を調べた。単分子層を成膜した素子では、ゲートに正電圧を加えても膜の電気伝導度に変化はないが、負電圧を加えていくと電気伝導度が徐々に増加していくのが観察された。これは、負に帯電したゲートの電界によってキャリアであるホールがEDT-TTFドナー分子にドープされ、電気伝導度が向上したためと考えられ、このような手法で導電性LB膜の外部電場による電気伝導度のコントロールが可能であることを示している。 今後は、他の導電性LB膜についても研究を行い、より特性の優れたデバイスの開発を目指していきたい。
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