2001 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップ半導体ヘテロ界面の電子物性制御とパワーデバイスの高性能化への展開
Project/Area Number |
13750010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須田 淳 京都大学, 工学研究科, 助手 (00293887)
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Keywords | AlN / SiC / MIS / MBE / 界面 / パワーデバイス |
Research Abstract |
ワイドバンドギャップ半導体六方晶シリコンカーバイド(SiC)は、大きな絶縁破壊強度、高い熱伝導度、バルク結晶成長が可能であるなどの特長を併せ侍っため、超低損失パワーデバイス材料としての期待されている。SiCパワーデバイスにおいては、酸化プロセスにより得られるSiO_2膜が、FETゲート絶縁膜や表面パッシベーション膜として利用されている。しかし、SiO_2/SiC界面における炭素の析出、界面準位に起因する低いMOSFETチャンネル移動度などの問題が存在し、デバイスの高性能化を妨げている。SiO_2に代わる絶縁膜材料の開発が期待されている。 III族窒化物である六方晶窒化アルミニウム(AlN)は、周期律表においてSiCと隣接する化合物であるため、格子定数がほぼ等しく、また、化学的にも親和性が高い。AlNは6.2eVと大きなバンドギャップを持ち、非常に高い絶縁性を有している。本研究は、分子線エピタキシー(MBE)法によりSiC基板上にAlNの結晶成長を行い、得られたAlNがSiCパワーデバイスのゲート絶縁膜、パッシべーション膜として利用可能かの検証を目的としている。今年度は、以下の結果を得た。 1.SiC基板表面処理としてHClエッチングを行うことで、良好な絶縁特性を持つAlN/SiCヘテロ構造を得ることに成功した。表面処理プロセスの確立は、今後研究を展開させる上で非常に意義がある。 2.X線光電子分光からAlN/SiCのバンドオフセットの測定を行い、基板の面方位によりオフセットが変化することを見出した。ゲート絶縁膜としては、オフセットを大きくすることが非常に重要となる。次年度は、オフセット変化のメカニズムを明らかにし、人為的なオフセット制御手法の確立を目指す。 3.AlN/SiCヘテロ界面の容量-電圧特性を測定し、界面準位・界面固定電荷の定量化に成功した。これらの低減はAlN/SiCのデバイス応用の上極めて重要である。界面固定電荷は成長の初期シーケンスと相関があることをつかんでおり、次年度は成長シーケンスと界面準位・固定電荷の相関を系統的に研究する計画である。
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