2001 Fiscal Year Annual Research Report
硫化亜鉛系半導体の硫黄圧制御分子線エピタキシーの初期過程の制御と紫外レーザの作製
Project/Area Number |
13750014
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
市野 邦男 鳥取大学, 工学部, 助手 (90263483)
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Keywords | ZnS / GaP / MBE / 紫外線 / レーザ / p型 / Li / P分子線 |
Research Abstract |
本研究では,硫化亜鉛(ZnS)系半導体を用いた紫外半導体レーザの作製を最終的な目的とし,1年目の本年は,その基礎技術としてZnS系分子線エピタキシャル(MBE)成長層/燐化ガリウム(GaP)界面構造の最適化と,p型伝導半導体の実現のための研究を行った. エピタキシャル成長に先立ち,GaP基板の自然酸化膜を専用の超高真空チャンバーにおいて加熱処理により除去する際の,分子線照射の効果について検討した.P分子線を照射しながら約620℃まで加熱処理することで,酸化膜を除去し平坦な表面を得ることができた.酸化膜除去後,引き続きP分子線を照射しながら降温していく際に,P分子線の照射停止温度を変化させることで,表面のGa/P組成比を制御した.その結果,約450℃以下でP過剰な表面が得られることがわかった.そして,その境界にあたる450℃でP分子線の照射を停止し,Zn分子線を照射したGaP基板上に成長したZnSは,他の条件で処理した基板上に成長したものよりもよい結晶性を示した.このことは,基板の表面組成の制御が重要であることを示している. 上記のようにして結晶性を向上させたZnSに対して,アクセプタ不純物であるLiを添加することによりp型伝導半導体の作製を試みた.種々の添加条件を検討した結果,低温フォトルミネッセンススペクトルにおいて,中性アクセプタ束縛励起子発光が支配的で,深い欠陥準位に関する発光が全く見られない結晶が得られた.また,それらの結晶は,電気的測定において,有効アクセプタ密度約3×10^<15>cm^<-3>のP型伝導を示した.ZnSにおけるP型伝導の報告例は非常に限られており,技術的に確立していない.本研究の結果は初期的ではあるが,さらに条件を確立することで,ZnS系半導体の発光デバイスヘの応用に向けてのブレークスルーになり得るものである.
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