2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
江島 丈雄 東北大学, 多元物質科学研究所, 助手 (80261478)
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Keywords | He共鳴線 / 多層膜偏光子 / 3回反射型偏光子 / その場観察 |
Research Abstract |
その場で膜厚を決定できる方法のひとつであるエリプソメトリー法は、入射した光の偏光状態と反射してきた光の偏光状態を測定することにより、簡便に薄膜の厚さを決定できる手法である。しかし、膜厚の決定精度は入射波長に依存し、精度の良い偏光素子が可視域(380nm〜770nm)にしか存在しないため、数nm以下の膜厚を高い精度で決定するには精度の点で劣るとされていた。 今回の研究では、光源としてHe稀ガス共鳴線(He-I(58.4nm),He-II(30.8nm))を用いることにより、使用波長を短くすることによる膜厚決定精度の向上を試みる。そのためには、まず、成膜装置との合性の良い偏光子を開発する必要がある。 今年度は、計画に基づき、新たにHe-I,He-II共鳴線用の多層膜偏光子を用いた、光軸を変えない3回反射型の偏光子の開発を行った。合せて、偏光子を格納するためのホルダー、偏光子と一体となるように設計した稀ガス共鳴線を発生させる放電管、放電管へのガス供給ラインを作製した。作製した偏光子の評価は、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所放射光研究施設(フォトンファクトリー)で行った。 今回開発した3回反射型偏光子は、主たる偏光能を決める1枚の多層膜偏光子とその多層膜偏光子に対して入射角を決める2枚の多層膜反射鏡から構成される。今回は3回反射を行うための2枚の多層膜反射鏡を、それぞれHe-I,He-II共鳴線用に新たに開発し、既に開発済みの多層膜偏光子と合せて、それぞれの偏光能の評価を行った。まだ評価途中ではあるが、He-I共鳴線用の3回反射型偏光子として偏光能85%、He-II共鳴線用3回反射型偏光子としてスループット4.4%で偏光能98.9%のものが得られている。
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