Research Abstract |
PCクラスタの構築に関しては,まず,超並列計算機研究会がまとめた資料を参考に,ハードウェア,OS,並列処理の実現方法の選択,およびそれらの設定を行った.多少の試行の後,計算機ハードウェアとしては,最も安価なパソコンを5台,OSとしては,Omoikane-Linux,並列処理の実現方法としては,GNUのC/C++とMPIライブラリを採用した. また,並列剰余計算の理論研究としては,実装しPCクラスタ上で計算実験を行うため,実装の細部まで見通して研究の深化させ,申請者が既に考案していた4種類の方法のうち,1方法を選択し,計算量オーダだけでなく,実装時の実際の計算時間も考慮して,計算方法の改良を行った.具体的には,これまで,全面的に整数剰余計算を採用していたものを,精度的に問題がない一部に,浮動小数を使うように,計算方法の変更を行った.実装時にはコード量,実計算時間ともに改良前の半分以下になった. この改良よる理論面での成果を10月初旬に九州大学で開催された日本応用数理学会の年会で発表し,積極的かつ肯定的な反応を得た.それと同時に,研究討論により,改良部分の浮動小数の使用の部分では,精度的にあまり余裕がないこと,計算機間通信では,通信量は少ないが,通信時刻が集中する可能性があるとの指摘をうけた.実際その傾向が見られ,対応を検討している.また,研究討論の過程で,必要な計算桁数が,当初の見積もりの半分程度で済む可能性を発見した.これはPCクラスタの規模を半分にできることを意味する.これも現在検討中である.
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