2001 Fiscal Year Annual Research Report
フラーレンを利用した耐摩耗性材料の開発に関する研究
Project/Area Number |
13750084
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
米倉 大介 徳島大学, 工学部, 助手 (70314846)
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Keywords | 摩擦摩耗 / 表面改質 / 炭素系薄膜 / マイクロ波プラズマ CVD法 / アークイオンプレーティング |
Research Abstract |
本研究は,フラーレンを含めた炭素系薄膜の作成条件を模索し,従来のものよりも優れた摩耗特性を有する材料を開発およびその機構を解明することを目的とした.本年度は通常,ダイヤモンド薄膜の作成に使用しているマイクロ波プラズマCVD装置を用いて,耐摩耗製に優れると考えられるDLCやフラーレンなど各種の炭素系薄膜の成膜を試みた.また,ボールオンディスク形式の摩擦摩耗試験を行い,上記で作成した薄膜の摩擦摩耗特性を評価した. 実験の結果,現行のマイクロ波CVD装置では基板がプラズマに直接さらされているため,基板温度が800℃以上の高温になりダイヤモンドもしくは熱分解炭素が成膜されることがわかった.成膜条件を変化させることによって熱分解炭素以外の炭素系薄膜を作ることを試みた結果,ガラス状炭素を作ることができた.これらの物質についでベアリング鋼を相手剤として摩擦摩耗試験を行ったところ,熱分解炭素,ガラス状炭素では摩擦係数は低いものの,耐摩耗性が著しく低いことがわかった、これは膜厚が極めて薄いため,短いすべり距離で薄膜がはく離し基板と直接接触するためである.これらの結果は,処理中の基板温度が高すぎること,基板との密着強度が低いことが原因と考えられる.そこで,既存のマイクロ波CVD装置を改造し,バイアス電圧を印可およびプラズマと基板との距離をとることで密着性の向上および基板の温度上昇抑制を試みた.その結果,基板は500℃以下に保たれ,熱分解炭素の精製を抑制できたが,膜厚の問題は解決できず,長距離にわたった摩擦摩耗特性を改善することができなかった.そこで次年度は厚膜化を図るために,イオン化量が多いアークイオンプレーティング装置を用い,He雰囲気中で成膜を行うこととする.
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