2001 Fiscal Year Annual Research Report
アパタイト不織布を用いた生体親和性複合材料の創製に関する基礎的研究
Project/Area Number |
13750088
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
松田 聡 姫路工業大学, 工学部, 助手 (40316047)
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Keywords | ハイドロキシアパタイト / 生体親和性 / 繊維 / 焼成条件 / 機械的特性 |
Research Abstract |
ハイドロキシアパタイト繊維の成形条件を変化させて,繊維の強度・微視構造に及ぼす影響を調べた.繊維の紡糸には,開発した繊維紡糸装置を用いて,アパタイト微粉末,蒸留水,バインダー材料を混合したスラリーから作製した.高温炉中でバインダー材料の除去,アパタイトの焼結を行ない,純粋なアパタイト繊維を得た.強度は,ふるい振動法を用いて繊維の残留量から評価した. スラリーの配合比の影響を調べた結果,紡糸に最適な粘度は50〜200Pa・sであることがわかった.バインダーの配合比が高くなると、繊維表面に欠陥が多くなり,繊維強度が著しく減少することがわかった.また,アパタイトの粒子径をサプミクロンオーダーまで小さくすると,強度は40%程度上昇することがわかった. アパタイトの焼成条件を変化させ,焼結性と強度の関係を調べた.焼成温度を800〜1000℃まで変化させたところ,800℃までは繊維表面に小さな凹凸が残り焼結が不十分であったが,900℃を超えるあたりから焼結が起こり始め,1100℃ではアパタイト微粒子がみられないほど焼結が進んでいたことがわかった.強度は,焼結が進むにつれて高くなる傾向を示した.また,焼結時間は,繊維の表面状態,強度にはほとんど影響を及ぼさなかった焼成温度について検討を行なった結果,繊維中の水分が抜ける温度範囲である〜200℃の昇温速度を低下させた場合,強度・繊維表面状態にはほとんど影響がなかった.バインダーが抜ける温度域200〜400℃での昇温速度の低下は,強度の著しい向上をもたらした.また,繊維の焼結も進んでいることがわかった.焼結が進む温度域400℃以上での昇温速度の低下もまた強度を向上させたが,200〜400℃までと比較すると小さかった.さらに,全温度範囲において昇温速度を低下させることによって,他の成形条件よりも強度は高くなった.また,成形温度が低いほど,昇温速度の低下が効果的であることが明らかとなった.
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