2001 Fiscal Year Annual Research Report
振動荷重下における湿式ペーパ摩擦材表面の真実接触挙動
Project/Area Number |
13750125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
服部 泰久 東海大学, 工学部, 講師 (60287034)
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Keywords | ペーパ摩擦材 / 真実接触 / 多孔質弾性 / 粘弾性 / 湿式クラッチ |
Research Abstract |
潤滑油中のペーパ摩擦材が振動的圧縮荷重を受けるときの真実接触面積と試料厚さの変化を高い時間分解能で同期させて測定するシステムを構築した.真実接触面積は,試料をガラス面に押し付けてできる真実接触点を全反射と偏光の現象を利用して可視化し,画像処理によって求める.その際,撮影映像にエイリアシング(周期的現象をビデオ撮影するときに起こるみかけの低い周波数の映像)が現れるように加振周波数を適当に選択することで,1サイクルの1/30程度の分解能での観察を可能にした. この実験システムを用いて,接触面が一辺5mmの正方形であるぺーパ摩擦材試料に1〜30Hzの正弦波状の変動面圧をかけたときの真実接触面積と試料の厚さ変化を,潤滑油に浸さない場合(乾)と浸した場合(湿)それぞれについて測定し,湿の場合の乾の場合に対する相対比較から材料内部に含んだ潤滑油の影響を調べた.その結果,厚さ変化には10Hz以上で相対的な位相の遅れが生じ,周波数に連れて増加することが確認された.しかしながら,真実接触面積変化には30Hzで相対的な位相の遅れがわずかに現れた以外は,実験範囲内で有為な差は認められなかった. 次に,この実験をモデル化し,粘性液体に浸された平滑な多孔質弾性体のブロックが剛平面間に挟まれて振動的圧縮荷重を受けるときの変形-流動解析を行った.厚さ変化の解析結果は実験における乾湿間の相対的な遅れを説明することができた.接触面における圧力解析では,液圧変動振幅は周波数とともに増加し,これが厚さ変化と連動していたことから,接触面での液体の滲出・滲入現象の存在が推察された.このことは固体接触圧変動の位相遅れにつながるが,一方で周波数増加時の液圧変動の位相が全圧力変動に近づく挙動が固体接触の位相遅れを打ち消す方向に働くことがわかり,真実接触面積変化がわずかである実験結果と符合する形となった.
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