2001 Fiscal Year Annual Research Report
渦構造解析を通じた圧縮性乱流中の速度ベクトル非圧縮成分の圧縮性依存性の研究
Project/Area Number |
13750155
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
三浦 英昭 核融合科学研究所, 理論・シミュレーション研究センター, 助手 (40280599)
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Keywords | 圧縮性乱流 / 渦構造 / DNS |
Research Abstract |
圧縮性乱流における、速度場ベクトルの非圧縮性成分の変化を、一様等方減衰性乱流の直接数値シミュレーション(DNS)と渦構造解析によって調べることが本研究の目的である。この目的を達するため、初期に速度場の非圧縮性成分だけをもち、密度が一様な初期条件から圧縮性乱流のDNSを行い、同レイノルズ数の非圧縮性一様等方乱流のDNSとの比較を行った。また、渦解析には、我々が開発した低圧力旋回渦の同定法[1,2を用いた。この研究からわかったことは以下の通りである。 1.運動エネルギー、エンストロフィーなど、最も良く参照される平均量を調べた限りでは、この二つのDNSの間に大きな違いは見られない。 2.渦構造解析を行ったところ、渦が計算空間に占める体積、渦の断面積などに、圧縮性の顕著な影響が見られた。具体的には、渦の中心軸の総延長では圧縮性と非圧縮性DNSの間にほとんど差が見られないが、渦の体積は非圧縮性渦に比べて圧縮性渦が30%以上小さくなるという結果が得られた。また、渦断面の半径の確立密度関数(PDF)を調べたところ、圧縮性渦のPDFは非圧縮性渦のそれに比べて、明らかに半径の小さい側へシフトしている。さらに、渦旋回領域外周を閉曲線とする渦循環を調べたところ、やはり圧縮性渦の循環に約30%の低下が観測された。これらの傾向は、圧縮性の影響によって、渦の旋回運動が抑制されることを示している。 3.このような渦運動の低下は、渦中心軸のトポロジー変化などをもたらしている。一例として、旋回運動の低下した渦にキンク構造が発生した場合に、非圧縮性渦はその構造を保持している間にも、圧縮性渦は破断を生じてしまう例が挙げられる。また、渦の併進運動の速度も著しく変化しており、十分に時間発展した後の圧縮性及び非圧縮性DNSの渦構造は、お互いに著しく異なったものになっている。 このよりに、運動エネルギーなどの代表的な積分量ではほとんど圧縮性の影響が見られないような圧縮性の弱い乱流でも、その内部構造は著しく異なっている。このような違いは、乱流混合などに大きな影響を及ぼすものと考えられる。 [1] H. Miura and S. Kida, J. Phys. Soc. Japan 66 (1997) 1331. [2] S. Kida and H. Miura, J. Phys. Soc. Japan 67 (1998) 2166.
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Research Products
(1 results)