2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750156
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
中野 厚史 国立循環器病センター研究所, 脈管生理部, 室員 (90217787)
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Keywords | 乱流遷移 / 非定常流れ / 数値シュミレーション / 大動脈内血流 / 瞬時スペクトル解析 / 間欠流 |
Research Abstract |
人やイヌなどの大型哺乳類の大動脈内血流においては、乱流遷移が観察されている。ここで観察される乱流は,心拍周期毎に乱流が発生・発達・減衰・消滅を繰り返す特異的な現象がみられる。乱流遷移が発生すると流れ場の物理的性質が大きく変化し、動脈壁を構成する内皮細胞や血液中の血球成分に対するずり応力の増大、血液中の酸素・二酸化炭素やコレステロール等物質の拡散や混合が起きる。病態生理学的にも大動脈内の乱流は、溶血・血栓・粥状動脈硬化等、血管・血液病変の要因の一つとされている。しかし大動脈内の血流の時間変化は単純な正弦波の繰り返し変動ではなく、心拍動に伴う周期内に停止期間を持つ間欠流である。こうした流れ場に発生する乱流の性質を明らかにするため、振動流及び周期的間欠流での実験計測・数値実験・実験データの統計的解析手法の開発を行ってきた。これまでの実験計測結果の示すところによると、乱流への遷移は通常の定常的な流れ場に発生する乱流遷移とは異なり、周期のある特定の位相において、管断面全体で乱流への遷移が発生している。これは、上流での乱流遷移が下流へと移流してくるのと同時に、局所でのストークス層領域(壁面近傍)からの遷移がほぼ同時に発生し互いに影響するために、断面全体での遷移が引き起こされるものと考えられる。またこの断面同時に乱流遷移が発生する周期内における位相にも着目し、前述のように周期毎にほぼ同位相で遷移が発生するが、僅かに揺らぎが存在する。これに着目し振動流における乱流遷移の安定性と揺らぎの概念を検討している。これには実験以外に数値実験の結果が不可欠であるが、現状での数値実験結果は似た現象はみられるものの、その原因が計算機能力や計算条件(2次元メッシュやメッシュサイズによる発散)に起因しているのか実際に対応する現象が計算でも捕らえられているのかの検証を行っている。
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