Research Abstract |
ミスト冷却の高効率化を目的とした噴霧液滴群の最適形成・供給法の追究として,スプレーフラッシュ蒸発による過熱水の微粒化について,液体過熱度(ノズル入口液温と1atmでの液体の飽和温度との差),噴出圧力差(ノズル入口圧力と1atmとの差)を操作条件に,耐熱ガラス円管ノズルの流路寸法の影響を含めて実験した結果,以下の成果を得た. ・噴霧流の形成は,圧力差一定のもと過熱度の増加とともに不完全噴霧から完全噴霧に変化する.この完全噴霧は,ノズル流路寸法に対してある一定以上の圧力差を要し,さらに,同じ寸法のノズルの場合,圧力差がより高いほどノズル内流れの乱れの増大によって,より低過熱度で形成する. ・形成した噴霧流の温度分布はその中心から半径方向に減少する.この分布は流れとともにわずかに平坦になる.この分布の一様性について以下に要約する.噴出液柱は,フラッシングによってノズル出口で多数の液滴に分裂する.この液滴により,噴霧流中心では気流蒸気濃度が高まり滴温低下を抑制する.したがって,一様性は,噴霧流の中心とその外縁との液滴温度差が増す高過熱度条件ほど低下する. ・形成した噴霧流の噴霧量分布はその中心から半径方向に減少する.この分布は流れとともにその噴霧域が広がり平坦になる.また,噴霧量は全体的に低下する.この分布の一様性について以下に要約する.噴出液柱は,ノズル出口で大径の液滴に分裂し,飛行中の分裂を経て下流へ飛散する.したがって,一様性は,力学的に安定な小径液滴にノズル出口で分裂し,噴霧域内での質量差が小さくなる高過熱度条件ほど増す.ただし,過熱度が高すぎると逆に一様性を低下させるため,最適値がある. ・形成した噴霧流の液滴粒径分布は,噴霧流の流れとともに,噴霧域内では外縁ほど,さらに,圧力差一定のもと過熱度の増大によって,飛行中の分裂,小径液滴の飛散,微粒化促進で,それぞれ,より均一になる.(800字)
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