トップヒートモードで作動する伝熱促進素子の動作特性

2001 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 13750177
• Research Category: Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
• Research Institution: Tokyo Metropolitan University
• Principal Investigator: 山口 義幸 東京都立大学, 工学研究科, 助手 (10244419)
• Keywords: 伝熱促進 / 熱収縮 / 上部加熱水槽 / 逆自然対流 / 相変化物質

Research Abstract

本研究は上方で加えられた熱を下方へ効率よく輸送するシステムの開発に関する研究である.本研究課題では特に,加熱により可逆的に収縮する密閉容器(以下,NTEカプセルと呼ぶ)について,より安定した動作を行う機構を開発し,その動作特性を実験により明らかにすることを目的とする.
本研究以前に,形状記憶合金製のばねを用いて温度が上昇すると密閉容器内の空気を圧縮する装置が考案され,その動作が確認されている.しかし,水槽下部では水圧によって密閉容器が押されるため,得られる浮力が減少する.一方,形状記憶合金ばねが密閉容器を圧縮する力は水圧の影響を受けないため,水槽が深くなると,いったん底部に沈んだNTEカプセルは冷却によって形状記憶合金ばねが柔らかくなっても,密閉容器が膨張出来ず,再浮上しなくなる.
そこで,形状記憶合金ばねに替えて相変化物質(使用温度の高温側で蒸発する液体)を用いたNTEカプセルが提案された.この新型NTEカプセルは,空気を充填した大きな密閉容器の圧縮・膨張を小さな密閉容器内の相変化物質の蒸発・凝縮によって行い,装置に作用する浮力を変化させる仕組みで,これまでに数値計算による動作予測が行われているが,実機による検証はまだ行われていない.そこで本研究では,同装置の動作特性を実験により調べた.
平成13年度は,相変化物質としてRC318(C_4F_8)を用いたNTEカプセルを製作し,以下の実験を行った.
・同恒温水槽を用いて,NTEカプセルの温度を変化させ,NTEカプセルの体積変化を測定.
・深さ1mのアクリル製水槽を用いて,NTEカプセルの動作を観察.
・同水槽を用いて,NTEカプセルの伝熱促進効果を評価.
実験は相変化物質の量および充填空気圧を変えて行い,NTEカプセルの動作に及ぼすこれら諸設定の影響を調べた.