2002 Fiscal Year Annual Research Report
水素ガスタービンにおける濃淡燃焼によるNOx低減に関する研究
Project/Area Number |
13750179
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
首藤 登志夫 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (10301574)
|
Keywords | 水素 / エネルギー / 環境負荷低減 / 代替燃料 / 窒素酸化物 / 燃焼 / ガスタービン / 排気エミッション |
Research Abstract |
ガスタービンにおける水素利用は環境・エネルギー問題への対応策のひとつとして考えられ,その唯一の公害排気成分であるNOxの低減は重要な課題である.NOx低減手法として,Zel'dovich NOの排出が過濃燃焼でも希薄燃焼でも減少することを利用した濃淡燃焼がある.一方,燃焼によるNOxには,Zel'dovich NOのほかに過濃燃焼域において生成するprompt NOがある.必然的に過濃燃焼領域が存在する濃淡燃焼ではprompt NOの割合が相対的に高いことが考えられるが,prompt NOを生成しない水素は,炭化水素燃料に比べて濃淡燃焼によるNOx低減において有利であることが予想される. 本研究では,ガスタービン燃焼器単体を用いて水素濃淡燃焼によるNOx排出特性をメタン濃淡燃焼と比較しながら実験的に解析するとともに,その際のNOx排出特性について,拡大Zel'dovich機構を用いた計算モデルによる検討を行い現象解釈の一助とした.また,濃淡燃焼におけるNO_2排出の特性についても併せて解析を行った. ガスタービン燃焼器を改造した同軸型濃淡燃焼器による実験を行った結果,燃料中にC原子を含まない水素は燃焼中間生成物HCNを介して生成するprompt NOを排出しないため,濃淡燃焼によるNOx低減に適した燃料であることを示した.また,水素濃淡燃焼ではNOx中のNO_2割合もメタン濃淡燃焼に比べて低いことが実験から明らかになった.燃焼におけるNO_2の生成については,一度生成したNOがHO_2と反応してNO_2となる反応が支配的である知られている.このHO_2は,主にHとO_2と第三体との反応によって生成するが,同時にH, O, OHとの反応によってHO_2が消滅することが知られており,H, OHの濃度がメタン火炎に比べて高い水素火炎においては,HO_2によるNOからNO_2への変換が抑制されたことが考えられる.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Shudo, T., Mizuide, T.: "NOx Emission Characteristics in Rich-Lean Combustion of Hydrogen"Elsevier JSAE Review. Vol.23No.1. 9-14 (2002)
-
[Publications] Shudo, T., Mizuide, T., Omori, K.: "NOx Reduction by Rich-Lean Combustion in a Hydrogen-Fuelled Gas Turbine"Abstract of WIP, 29th International Symposium on Combustion. 19 (2002)
-
[Publications] 大森賢登, 檜山修, 首藤登志夫: "水素濃淡燃焼における二酸化窒素の排出特性"第40回燃焼シンポジウム講演論文集. 97-98 (2002)
-
[Publications] 監修市川勝 著者首藤登志夫他(分担執筆): "天然ガスの高度利用技術(分担執筆) (執筆箇所:7章5節 内燃機関における水素の燃焼)"NTS. 770(742-750) (2001)