2001 Fiscal Year Annual Research Report
金属から超流動ヘリウムへの熱伝達におけるカピッツァコンダクタンスの改善の研究
Project/Area Number |
13750185
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
岩本 晃史 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (00260050)
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Keywords | 超流動ヘリウム / カピッツァコンダクタンス / 極低温 / 熱伝導率 / 界面熱抵抗 |
Research Abstract |
熱伝達表面へのコーティングなどにより表面状態を変化させ、超流動ヘリウムの熱伝達におけるカピッツァコンダクタンスの改善を研究するためには、その評価に必要な物性値(熱伝導率、材料間の界面熱抵抗)の評価は必要不可欠である。平成13年度では初めに熱伝導率、界面熱抵抗の評価手法の確立を行い、その後、数種類のコーティング材を選択し、確立した手法を用いて物性値の評価を行った。熱伝達面として銅を採用し、コーティング材料として取り扱いの容易なエポキシ系樹脂などを選択した。熱伝導率は試料に加えた熱量とその結果生じる温度差より評価した。温度差は試料両端に取り付けられた銅ブロックに埋め込まれた温度計により評価した。このとき銅ブロック-試料界面で生じる界面熱抵抗による温度差は、試料厚さを変えた測定を行うことでキャンセルすることができる。すなわちこの測定手法では熱伝導率と同時に界面熱抵抗に関する評価を行うことができる。熱伝導率の測定は、同一の試料に対して、超流動ヘリウム温度から4.2Kまでとそれ以上の温度領域に分けて行い、そのために必要な液体・超流動ヘリウムを用いた冷却装置と冷凍機を用いた冷却装置の2種類の装置を製作した。それらの装置を用いて標準的なサンプル(エポキシ樹脂)の極低温での試験的な熱伝導率の測定を行い、他の研究者の測定結果と比較して矛盾のない結果を得ることができた。エポキシ系樹脂は一般的な材料として既に測定されている例もあるが、作製条件の違いが原因となり特性に個体差を生じる可能性がある。そこでコーティング時と同条件の製法による試料について熱伝導率の評価を行う必要があると考えられる。現段階ではスタイキャスト1266及び2850FTについて室温から4.2K付近までの一回目の測定を終えている。界面熱抵抗の評価には高精度の測定が必要なため、平成14年度も引き続き測定を行い、測定精度を向上させる。
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