2002 Fiscal Year Annual Research Report
金属から超流動ヘリウムへの熱伝達におけるカピッツァコンダクタンスの改善の研究
Project/Area Number |
13750185
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
岩本 晃史 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助手 (00260050)
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Keywords | 超流動ヘリウム / カピッツァコンダクタンス / 特性改善 / 黒化処理 / 界面熱抵抗 |
Research Abstract |
金属から超流動ヘリウムへの、その界面において大きな温度差が生じる。この原因は界面のカピッツァコンダクタンスであるが、それは熱伝達表面の状態によって変化する。そこで表面状態を明らかに変化させた2種類の試料によりカピッツァコンダクタンスの測定を行い、特性の表面状態依存性並びに特性改善の可能性の評価を行った。試料は直径20mm、長さ76mmの円柱で、その片端を超流動ヘリウム中に水平上向きに曝し、もう一端にヒータを取り付け、熱伝達面以外の部分は熱絶縁のための真空容器内に納めた。熱伝達表面は荒さ5μm以下の銅磨き面、銅表面を化学的に処理した黒化処理(酸化銅、膜厚4μm)面の2種類である。測定は1.78±0.01Kに制御された飽和超流動ヘリウム中において行われた。また熱伝達表面温度の評価は銅円柱内の温度勾配より評価した。全ての温度計は誤差5mK以内に較正されている。カピッツァコンダクタンスの測定結果は、熱流束が5000W/m^2の場合を例に挙げると、銅面:1.03x10^<-4>m^2K/W;表面温度2.3K、黒化処理面:1.7x10^<-4>m^2K/W;表面温度4.9Kであった。ところで黒化処理面のカピッツァコンダクタンスは評価手法上、銅-黒化処理界面熱抵抗、黒化処理層の熱抵抗を含んだかたちで評価されている。ここで、その2つの熱抵抗を実験や文献により評価すると、その合計の熱抵抗は最大で1.4x10^<-4>m^2K/W at 4.9Kであると評価される。すなわち実際の黒化処理面のカピッツァコンダクタンスは0.3〜1.7x10^<-4>m^2K/Wの範囲にあると考えることができる。この結果は、黒化処理面のカピッツァコンダクタンスが銅磨き面よりも低い、すなわち改善されている可能性を示唆している。このように表面にコーティングを施すことによりカピッツァコンダクタンスを制御可能であるということが本研究により明らかとなった。
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