2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750279
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田部 荘司 九州工業大学, 情報工学部, 助手 (30231236)
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Keywords | 磁束線可逆運動 / 交流損失 / Campbellモデル |
Research Abstract |
超伝導線材の交流損失を低減するために、マトリックスに埋め込まれているフィラメントを細線化することにより、磁束線の運動をピン・ポテンシャル内に制限し磁束線可逆効果を利用する方法がある。実際に金属系超伝導Nb-Ti極細多芯線や酸化物超伝導体Bi-2223銀シーステープではこの効果が確かめられている。この現象の理論的な解明が望まれるが、これまでは臨界電流密度の磁界依存性を無視したCampbe11モデルによって説明が試みられたが、磁界依存性が大きい低磁界のところで理論と実験の外れが大きかった。 本研究ではこの問題を解決するために臨界電流密度の磁界依存性を考慮したCampbellモデルを考え、新しく超伝導体内部の磁束密度分布を求めることのできる二次微分方程式を導き出した。そしてこの微分方程式を数値的に解き、内部の磁束分布から磁化を求め、最終的に交流損失の見積りを行った。 その結果、外部磁界を変化させたときの磁化曲線はマイナー曲線からメジャー曲線まで正しく一致しており、従来の不可逆な磁束線の運動を正しく求めることができていることがわかった。次に中磁界振幅では磁束線の動きは可逆運動を含み、完全に不可逆な臨界状態モデルの予想よりも小さな交流損失を得ることができた。また可逆運動が顕著なほど交流損失が小さくなる様子を確認することができた。したがって、実験結果をある程度説明することができた。しかし小振幅の計算では今回の仮定が不十分であり内部の磁束分布の計算ができず、交流損失を評価できなかった。これが今後の課題である。
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