2002 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン太陽電池の高効率化に向けたCuInS_2薄膜のエピタキシャル成長の検討
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13750289
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
大石 耕一郎 長岡工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (90300558)
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Keywords | CuInS_2 / Cu(In,Ga)S_2 / エピタキシャル成長 / カルコパイライト型化合物 / カルコパイライト構造 / スファレライト構造 / 真空蒸着 / 太陽電池 |
Research Abstract |
本研究は、将来的にシリコンとCuInS_2のヘテロ接合太陽電池やシリコン太陽電池とのタンデム化を検討することを念頭におき、Si基板上CuInS_2薄膜のエピタキシャル成長の検討と結晶学的データの蓄積を目的として計画した。試料の作製方法には、蒸発源に構成元素の単体を用いた「多元同時真空蒸着法」を採用した。平成13年度の研究で、CulnS_2は立方晶系のスファレライト構造で結晶化し、また基板温度400-500℃程度で原料のInと基板のSiが反応してしまうことから、Si基板上に正方晶系のカルコパイライト構造で成長することは困難であることが示された。研究の最終的な目標から考えれば、CuInS_2薄膜がどのように結晶化するにせよ、太陽電池としての性能が向上できればよいが、本研究の目的は結晶学的データの蓄積であるので、平成14年度は結晶性の向上を狙い、Cu(In, Ga)S_2薄膜のエピタキシャル成長を主に検討した。Ga添加の効果はCu-In-Se系で報告されており、Cu(In, Ga)Se_2薄膜太陽電池の変換効率が、カルコパイライト系太陽電池の現在のトップデータとなっていることから考えても、本研究にとって有効である。また、申請者らは、以前の研究でカルコパイライト構造のCuGaS_2薄膜をSi基板上に成長することに成功しており、混晶化することで結晶性の向上が図れる可能性がある。 Si基板上へのCu(In, Ga)S_2薄膜の成長を基板温度400-550℃で検討し、X線回折パターンによる分析から、配向成長させるための基板温度に制限値が存在することを確認した。この制限値は、組成比[In]/[Ga]≒1の場合に対して、約450℃であった。また、RHEEDパターンより、CuInS_2がカルコパイライト構造で結晶化しなかったにも関わらず、Cu(In, Ga)S_2はカルコパイライト構造で結晶化させることができることを確認した。さらに、RHEEDパターンを詳細に分析することにより、Si基板上に成長したCu(In, Ga)S_2薄膜の配向は、c-軸成長,2種類のa-軸成長と4種類の{112}双晶の合計7種類であることを提案した。
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[Publications] Koichiro Oishi, H.Katagiri, S.Kobayashi, N.Tsuboi: "Growth of Cu(In, Ga)S_2 on Si(100)substrates by multisource evaporation"Journal of Physics and Chemistry of Solids. (発表予定).
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[Publications] 大石 耕一郎, 片桐 裕則, 小林 敏志, 坪井 望: "太陽電池に向けたSi基板上CuInS_2薄膜の検討"電子情報通信学会技術研究報告. CPM2001-98. 37-41 (2001)