2001 Fiscal Year Annual Research Report
光注入による波長可変テラヘルツ波パラメトリック発振器の発振スペクトル線幅狭窄化
Project/Area Number |
13750318
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
今井 一宏 理化学研究所, 光発生・計測研究チーム, 基礎科学特別研究員 (90322685)
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Keywords | テラヘルツ / 非線形光学 / 波長変換 / 遠赤外 / 光注入 / 波長可変光源 / 固体レーザー |
Research Abstract |
光波と電波の谷間にあるテラヘルツ波帯は発生・検出ともに困難な領域である。本研究は、研究や産業における同周波数帯の有効利用を視野に入れ、レーザー光の波長変換を基礎とした、実用的な超小型波長可変テラヘルツ光源の開発を目的とする。本年度は、半導体レーザー励起Nd : YAGレーザーを励起光源とする小型テラヘルツ波パラメトリック発生器の開発、光注入によるスペクトル線幅狭さく化と波長同調、高速同調法開発に取り組み、成果を得た。 従来のテラヘルツ波パラメトリック発生器は、大型のレーザーを用いていたため実用性の面で問題があった。本研究では、小型の半導体レーザー励起Nd : YAGレーザーを開発し、テラヘルツ波パラメトリック発生器との一体化を行った。その結果、テラヘルツ波発生器全体の大きさが、Nd : YAGレーザーと光注入用波長可変半導体レーザーを含めて30cm×65cmまで小型化され、より実用的な光源となった。また波長可変レーザー光注入によるテラヘルツ波スペクトル線幅狭さく化を実施し、注入波長の同調によるテラヘルツ波周波数1.1〜2.3THzまでの同調を実現した。さらに水蒸気分子の吸収スペクトルの観測に応用し、スペクトル線幅と周波数同調性能を評価した。 同調性能向上に関して、新たにガルバノスキャナと共焦点光学系を用いた高速周波数同調法を開発し、テラヘルツ波分光の計測時間短縮を実現した。本手法は複数周波数間の高速スイッチングにも応用できるため、測定対象に固有な吸収スペクトルを高感度差分検出する場合に有利であり、ガス検出やイメージングへの応用が期待される。本研究では、応用例として塩化水素ガス濃度の時間変化を測定した。
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[Publications] Kazuhiro Imai, et al.: "A frequency-agile terahertz-wave parametric oscillator"Optics Express. Vol.8, No.13. 699-704 (2001)
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[Publications] 今井一宏, et al.: "高速周波数可変テラヘルツ波パラメトリック発振器"電子情報通信学会論文誌. (印刷中). (2002)
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[Publications] 今井一宏, et al.: "ガルバノスキャナを用いた高速周波数可変テラヘルツ波パラメトリック発振器"電子情報通信学会技術研究報告. Vol.101, No.256. 59-64 (2001)
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[Publications] Kodo Kawase, et al.: "Transform-limited, narrow-linewidth, terahertz-wave parametric generator"Applied Physics Letters. Vol.78, No.19. 2819-2821 (2001)
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[Publications] Kodo Kawase, et al.: "Injection-seeded terahertz-wave parametric generator with wide tunability"Applied Physics Letters. Vol.80, No.2. 195-197 (2002)
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[Publications] 川瀬晃道, et al.: "光注入型THz波パラメトリック発生器"レーザー研究. Vol.29, No.7. 452-456 (2001)
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[Publications] 南出泰亜, et al.: "連続周波数可変リング型THz波パラメトリック発振器"レーザー研究. Vol.29, No.11. 744-748 (2001)