Research Abstract |
本研究では,超小型のネットワークマイクロセンサの研究に取り組んでいる.本年は,ネットワーク接続可能なマイクロセンサの実現に向けて,要素回路の研究に取り組んだ.その結果,低消費電力・低雑音のAD変換回路,高周波特性の優れたキャパシタの実現方法,送信機用小出力電力増幅回路の最適設計法について,あらたに考案し,発表を行った.低消費電力・低雑音AD変換回路では,MOSFETにて発生するフリッカー雑音をキャンセルすることにより,センサーに必要となる10Hz以下の低い周波数の信号をディジタル信号に変換するためのハイパスシグマデルタ変調方式について回路を構成し,回路パラメータの最適化について検討を行った上,書き換え可能なアナログモジュールを用いた実証試験を行った.また,集積回路において,アナログ回路には必須のキャパシタについて,アナログ専用プロセスを用いずとも,面積あたりの容量が大きく,寄生インダクタンスの小さなメタルキャパシタの提案を行った.ここでは,櫛形キャパシタを改良し,それぞれの櫛に流れる電流の向きを反転させ,寄生インダクタンスをキャンセルすることにより,高周波特性を飛躍的に向上させている.その性能については,数値解析による検証を行い,今後微細加工技術が進展し,単位面積あたりのキャパシタを増加させても,高周波特性が劣化しないことを示した.ネットワークセンサーでは,小信号の無線信号を送信する必要があるが,送信回路の電力増幅回路に必要となる瞬時最大電力を低減し,電池の消耗を抑えるための設計指針について示した。その結果,飽和領域と線形領域の両方を動作領域として利用することが,電力付加効率を向上させるために重要であることを示した.次年度は,これらの要素技術を組み合わせることにより,システムとしての実証試験を行う.
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