2001 Fiscal Year Annual Research Report
風化により劣化した絵画のディジタルメディア上での復元
Project/Area Number |
13750377
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
天野 敏之 名古屋工業大学, 工学部, 助手 (60324472)
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Keywords | 油画 / 修復 / ディジタル画像 / 顔料の剥離 / 画像補間 |
Research Abstract |
風化により劣化した絵画のディジタルメディア上での復元の研究において、本年度は劣化した絵画について調査を行うために、東京芸術大学大学院美術研究科・教授・歌田眞介氏、同大学助手の米倉乙世氏に協力を依頼し、絵画の劣化や修復の技術について調査した。その結果現在の絵画修復において、損傷個所の検出において紫外やX線などの可視光外の波長帯を用いた写真撮影等の技術が利用されており、これらの画像より顔料の剥離などの検出以外にもキャンバスに描かれた木炭の下絵等も検出できる技術が確立されている。しかし、これらの情報から絵画を修復するためにはその絵画の作風や顔料の種類、また劣化の進行状態等を考慮し知識を基に主観的に復元する必要があり、熟練を要することがわかった。これはディジタルメディア上での復元においても同様の問題が生じる。また、本年度は東京芸術大学大学院美術研究科・文化財保存学専攻保存修復油画研究室より劣化により顔料の剥離や亀裂が生じた絵画3点を借用し名古屋工業大学にて顔料の剥離のモデル化や検出方法の検討を行った。さらにスキャナなどでディジタル画像として表現された絵画の剥離や亀裂を補間する基礎技術について検討を行った。その結果、顔料の剥離検出では、顔料の剥離の特定は撮像装置の解像度や多種多様のキャンバス、また顔料や技報の違いに対応することは困難な作業であることがわかった。画像修復(画像補間)技術では人間の知覚特性において違和感が生じないレベルの補間手法が比較的容易に実現できた。なおこの検討した基礎技術に関する成果については今年度3月号の論文誌に掲載された。
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