2001 Fiscal Year Annual Research Report
都市域における熱とCO2環境緩和をめざした保水性建材による緑化の試み
Project/Area Number |
13750483
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
藤野 毅 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 講師 (70282431)
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Keywords | 保水性建材 / 都市ヒートアイランド / 熱収支 / 都市緑化 / 多孔質セラミック / 潮解・吸湿 |
Research Abstract |
建材の保水効果は夏季の自然条件下では3〜5日間程度と限界があるため、適度な散水を行なうなど課題があった。本年度は、緑化材のベースとして利用する前に、建材の保水効果を高めることを主眼に置き、夜間における屋外の多湿度・高水蒸気圧状態から、塩化物の潮解・吸湿作用を加味した建材の吸水がどの程度利用可能であるかを検証し、さらに、どの程度の保水期間を維持し、表面熱収支にもどの程度影響を及ぼすのかを実験によって調べた。 実験は、塩化カルシウムを保水性建材に混入して、恒温恒湿機内にて湿度95%の条件で行った。この結果、塩化カルシウム5gを添加した場合とそうでない場合とでは、6時間後の単位面積当たりの累積吸水量差は5リットルに達した。様々な条件で行なった結果、吸水量は塩化物量、含水量、建材の表面積および空隙によって変化し、それらを定量的に表現した。 これらの結果を踏まえ、塩化物を含んだ保水性建材が、夏季にどの程度の期間水分を保持し、熱収支特性がどのようであるのかを検証した。その結果、塩化物を混入することにより日中過剰な水分蒸発は抑えられ、夜間には吸水が生ずることから1週間以上は一定の含水量を保つものと見積られた。潜熱による効果に加えて、熱容量も大きくなるため、表面温度は通常の保水性建材と比較してさらに低く抑えられた。ここで、塩化物が水に溶けると雨天時には溶出の問題が生ずる。そこで、高分子材と混ぜて粘性を高めた結果、溶出割合を50%以上抑えられることもわかった。 以上のこのように、塩化物を添加した保水性建材は、従来の性能を飛躍的に上昇させることが可能となった。ただし、植生に与える影響については次年度の課題である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Fujino, T.Asaeda, Y.Kondo, K.Ohnishi: "Water Retentive Roof and Its Mitigation Potential of the Urban Thermal Environment"First International Workshop on Archtectural and Urban Ambient Environment,France(CD-ROM). 11 (2002)
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[Publications] T.Fujino: "Urban Thermal Mitigation Strategy in Desert Area"Proc.of The Joint Kingdom of Saudi Arabia-Japan Symposium in 2002. B-4-1-B-4-12 (2002)
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[Publications] 藤野 毅, 浅枝 隆, 福田萬大: "保水性舗装の熱環境緩和効果に関する実験的研究"舗装. 36・5. 26-30 (2001)
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[Publications] 反町紘透, 藤野 毅, 浅枝 隆, 坪松 学: "廃棄物再生建材の緑化の試みと生長要因に関する実験的研究"第28回土木学会関東支部技術研究発表会講演概要集. 818-819 (2001)
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[Publications] 深沢邦彦, 福田萬大, 藤野 毅: "保水性舗装による都市の熱環境緩和効果技術の提案"第24回日本道路会議一般論文集. 18-19 (2001)
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[Publications] 反町紘透, 大栗範久, 藤野 毅, 浅枝 隆, 坪松 学: "塩化物を添加した保水性建材の吸水・熱収支特性"土木学会第10回地球環境シンポジウム. (発表予定). (2002)