2002 Fiscal Year Annual Research Report
固液二相流型パーティクル法による地滑り誘発型津波の高精度予測モデルの開発
Project/Area Number |
13750492
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 仁志 京都大学, 工学研究科, 助教授 (40243068)
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Keywords | パーティクル法 / MPS法 / 地滑り誘発型津波 / 固液二相流 / 土石流 / 氾濫 / 侵食 |
Research Abstract |
地滑りに誘発される津波は,断層のずれによる津波と比較して発生頻度は低いものの,一度発生するとその規模は大きく,壊滅的被害が危倶される.津波の到達域を予測し,避難計画を立てるには,発生する津波の規模を適正に予測することが重要であるが,地滑りに伴う津波では,土砂の流動過程,土砂の水塊排除過程をともに精度良く推定することが求められる.特に土砂がどのように水塊を移動させるかという点では,土砂層・水層の界面を精度良く推定できるモデルが不可欠である. 本研究では,計算格子に依存しないLagrange型のパーティクル法(グリッドレス解析)を水流と土砂から成る二相流を対象に展開し,水面波の追跡,固相・液相間の内部界面波の追跡,さらには二相の混合状態や二相の流速分布など,場の詳細な情報を予測できる数値解析手法の開発を目指している. 昨年度は,計算速度の向上を目標にアルゴリズムの効率化を図り,従来のコードと比較して数倍高速の計算に成功した.また,固液二相流への拡張の基本的な作業を終えて,斜面を流下した土砂層(土石流を含む)が水面に突入する過程での土砂と水塊の混合とそれに伴う水面波の発生のシミュレーションを実施し,土砂と水塊との混合プロセスを伴う複雑な造波過程のシミュレーションが実施できる枠組みが構築した. 本年度はこれを受けて,海底地滑りや,あるいは地表面上の斜面(急傾斜地)で生じた大規模な崩壊が誘発する水面波のシミュレーションを実施して,既往の実験結果に対するモデルの再現性を確認した.従来は予測の困難であった水塊と土砂の激しい混合現象が,土砂の流動過程,水面との衝突過程,水中への潜入と水面波の発生過程を通して,初めて統一的モデルで記述できたことは,重要な成果と考えている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 後藤仁志, 林 稔, 酒井哲郎: "固液二相流型粒子法による大規模土砂崩壊に伴う水面波の発生過程の数値解析"土木学会論文集. 第719号/II-61. 31-45 (2002)
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[Publications] 後藤仁志, 林 稔, 安藤 怜, 酒井哲郎: "固液混相流解析のためのDEM-MPS法の構築"水工学論文集. 第47巻. 547-552 (2003)