2001 Fiscal Year Annual Research Report
準分布型流出モデルを用いた流況変動予測と治水安全度・河川環境影響評価
Project/Area Number |
13750494
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 温 京都大学, 工学研究科, 助手 (30293963)
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Keywords | 圃場容水量 / 流出モデル / 流量流積関係式 / 集中化 / 数値地形モデル |
Research Abstract |
1.長期連続計算が可能な準分布型流出モデルの構築 研究代表者が開発してきた、山腹斜面流出系における一般的な流量流積関係式を集中化する手法を基礎として、圃場容水量を考慮した流量流積関係式を集中化する方法を開発した。本流量流積関係式では、流域表土層に雨水が貯留される機構が表現されており、低水時の流出計算も可能となっている。しかし、実際に長期間の流出計算を実施しようとすると、計算に非常に時間がかかるという問題点がある。本研究では、この流量流積関係式を基にして、集中化された流出モデルを理論的に導出した。本流量流積関係式には、関係する状態量として、単位幅流量、水量のほかに、自由水分水量が媒介変数の形で含まれており、基礎とする集中化手法をそのまま適用することができない。本手法では、集中化の過程で行なう水量による積分操作を自由水分水量での積分操作に置き換えることで、本流量流積関係式の集中化を可能とした。 2.準分布型流出モデルの精度検証 本研究で構築した集中化モデルを淀川流域に適用し、その結果を分布型モデルによる計算結果および観測結果と比較して、本集中化手法の有効性と問題点を検証した。その結果、集中化モデル・分布型モデルの両計算結果と観測値は比較的よく一致した。とくに、有効降雨と損失降雨を分離しなくても良好な結果が得られ、また、無降雨時に流量が低減していく様子も再現することができた。さらに、三日分の計算をするのに、分布型モデルでは約4.5時間要したのを、集中化モデルでは約10分に短縮することができた。また、集中化モデル、分布型モデルの計算結果を比較したところ、降雨終了直後、あるいは、強い降雨のあとに、両計算結果の差が大きくなっていることが明らかとなった。この問題を本質的に解決するためには、集中化モデルにおいても雨水流下過程の非定常性をある程度考慮できるような方法を考えなければならない。次年度ではこの点についても改良を行う予定である。
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