2001 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素類(PAHs)の大気・水環境中での光変換性とその毒性への影響
Project/Area Number |
13750526
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
尾崎 則篤 広島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50294541)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素類 / PAH / 光変換 / 光反応 / MICROTOX毒性試験 / 大気中浮遊粉塵 |
Research Abstract |
筆者らはまず、実大気環境中における多環芳香族炭化水素類(PAHs)の光変換の年内変動を明らかにするための調査研究を行った。それによると、大気浮遊粉塵においては、より小さな粒子に付着したPAHsは変換の程度も大きく、また、変換は夏に大きく冬に小さいという明らかな季節変動が見られた。一方、より大きな粒子やそれを主な起源とする沈降粒子は変換の程度が小さく、また季節変動も見られなかった。以上から担体粒子毎、季節毎の実環境場での変換程度を明らかにした。大気粉塵中PAHs量は夏に少なく冬に多いという季節変動をすることは知られているが、本研究での解析によってその主たる原因が光変換性であることが示された。 また道路近傍における粒子状物質およびPAHsの拡散、堆積を調査した結果、浮遊粉塵中のPAHs量の週間、日間変動に対しても光変換が影響を及ぼしていることを明らかにした。 水中での光変換の基礎的な測定方法を確立し、同時期における大気中での光変換との違いを比較し、また純水や環境水を用い光変換の違いを比較した。 MICROTOX毒性試験器を用い光変換生成物まで含んだPAHsの総体的な毒性評価を試みた。対象とした浮遊粉塵等の溶媒抽出物を対象とし、毒性評価を試みた結果、PAHsの寄与はかなり大きいことが示唆された。また、光変換前にはPAHs以外の寄与はほとんどなかったにもかかわらず、光変換後にPAHs以外の寄与が相当程度見いだされたサンプルがあり、光変換によってPAHs反応生成物の毒性が生じることが示唆された。このことからPAHsのリスクを評価するにはPAHsそのもののみを対象としていては過小評価になる危険性が大きいことが明らかとなった。
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