2002 Fiscal Year Annual Research Report
Phytoncideを利用した植物性プランクトン増殖抑制の試み
Project/Area Number |
13750527
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久場 隆広 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (60284527)
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Keywords | アレロパシー / 富栄養化防止 / フィトンチッド / 大型水生植物 / シュロガヤツリ / ホテイアオイ / ワサビ / アレロケミカル |
Research Abstract |
閉鎖性水域における富栄養化時の植物性プランクトンの過剰増殖を抑制するために、水生植物の持つアレロパシー効果を利用した技術開発を行うことを目指した。Allelopathyとは「異種生物間でお互いに影響を及ぼし合うこと」であり、ここでは、藍藻類や藻類に対する水生植物の忌避効果に期待した。植物が放出する物質であり、生態系に過剰な影響を及ぼすことのない技術である。 供試植物としてシュロガヤツリ・ホテイアオイ・オランダガラシ・コカナダモ・ボタンウキクサを用い、アオコの原因微生物であるMicrocystis aeruginosaを対象菌とした。 従来、水域からの栄養塩除去による富栄養化防止の視点で研究の進められてきたこれらの植物(ボタンウキクサを除く)においてM.aeruginosaに対するアレロパシー効果が観察された。共存系実験あるいは抽出系実験(破砕後の水抽出物)では、ホテイアオイ、あるいは、シュロガヤツリに強い増殖抑制効果が観察され、M.aeruginosa細胞の溶菌が認められた。抽出系の実験に於いて、添加する抽出物量を変えたところ、その添加量に抑制効果が比例しており、少なくとも抽出物中にはM.aeruginosaの増殖を抑制する何らかのアレロ物質が含まれていることも分かった。また、その増殖抑制物質の効果保持期間は抽出後5日程度であることから、将来、抽出物を水域に散布する「植物製剤」(植物農薬)が工学的に可能であるとなれば、水域において他の生物に過剰な影響を及ぼすことなく、種特異的に、シアノバクテリアや藻類の過剰増殖を抑制できる可能性が示唆された。抽出物中の粗成分分析からは、カテキンないしは重合度の高い縮合型タンニンの存在が示唆された。 茶葉およびワサビの抽出物についても同様な検討を行ったところ、おそらくカテキンやアリルイソチオシアネートによると思われる強いアレロパシー効果が確認され、有効な「植物製剤」(植物農薬)としての可能性が明らかとなった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 楠本勝子: "大型水生植物のアレロパシーを利用した藍藻類の増殖抑制"第56回土木学会年次学術講演会講演概要集. VII. 92-93 (2001)
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[Publications] 楠本勝子: "Microcystis aeruginosaに対する大型水生植物のアレロパシー的忌避効果"第36回日本水環境学会年回講演集. 231-231 (2002)
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[Publications] 楠本勝子: "ホテイアオイ及びシュロガヤツリの持つMicrocystis aeruginosaに対するアレロパシー的増殖抑制効果の検証"第57回土木学会年次学術講演会講演概要集. VII. 207-1-207-2 (2002)
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[Publications] Katsuko KUSUMOTO: "Allelopathic effects of macrophyte on growth of Microcystis aeruginosa"Third World Congress on Allelopathy 〜Challenge for the New Millennium〜. 111-111 (2002)
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[Publications] 宮市哲: "シアノバクテリアに対する水生植物抽出液中のアレロケミカルの検索"第37回日本水環境学会年回講演集. (印刷中). (2003)
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[Publications] 蜷川徹: "植物製剤による植物性プランクトンの増殖抑制に関する基礎的研究"土木学会西部支部研究発表会講演概要集. 2(印刷中). (2003)