2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
13750550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
濱田 靖弘 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40280846)
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Keywords | 地盤熱源ヒートポンプ / 地中熱交換器 / 摩擦杭 |
Research Abstract |
地下熱利用システムにおける地中熱交換器のコスト面の改善をめざして,建築物の摩擦杭を空調用熱交換器として利用するエネルギーパイル方式を実際の建物に適用するとともに,理論解析によるシステム特性の解析を行い以下の知見が得られた. (1)長さ9mの摩擦杭26本を空調用熱交換器として利用するエネルギーパイルシステムを札幌市内の事務所併用住宅に適用し,暖冷房運転時の性能評価を行った. (2)地下熱直接利用型冷房における地盤側熱媒返り温度の期間平均値は20.0℃であり,良好な冷水が得られた.この時のエネルギー使用効率は18.6であった.また,ヒートポンプによる冷房時の地盤側熱媒返り温度の期間平均値は24.1℃,成績係数は3.9であり,凝縮器のヒートシンクとしても有効であることがわかった. (3)暖房運転における地盤側熱媒返り温度の平均値は3.8℃,ヒートポンプの成績係数は4.2であった.また,地盤温度の長期変動を測定した結果,暖冷房運転による影響はほとんど見られないことがわかった. (4)従来の暖冷房方式に対する運用段階における年間の削減率は,一次エネルギー,二酸化炭素について,それぞれ19.8%,22.4%であった.コストについては,融雪用電力の適用により55.5%と極めて高い削減率が得られた.さらに,ペイバックタイムによる評価を行った結果,摩擦杭利用による建設段階における大幅な削減によって,エネルギー,二酸化炭素,コストのいずれにおいても6年以内となった. (5)線源理論による空調用エネルギーパイルシステム解析プログラムを作成した.垂直型地中熱交換器の任意の多数管配列に対して,比較的迅速な計算が可能であり,数値シミュレーションの前段階における簡易的な予測に適している. (6)実際の採放熱量に近い条件下における地盤温度の変動特性に関する理論解析を行い,暖冷房の熱源として十分利用可能であることを示した.また,長期的に利用するための採放熱比は,0.7〜1.2の範囲とすることが望ましいことを示した. (7)実測結果に基づき建物規模とエネルギー削減率およびエネルギーペイバックタイムとの関係について検討した.その結果,現状と同程度の規模において削減率は最大となり,搬送系の最適化を図ることによって,ペイバックタイムがさらに小さくなることを明らかにした.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 濱田靖弘: "空調用エネルギーパイルシステムの開発-冷房運転の実績と長期的利用可能性-"空気調和・衛生工学会北海道支部第36回学術講演会論文集. 129-132 (2002)
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[Publications] 斎藤 央: "空調用エネルギーパイルシステムの開発-線源理論による設計手法とシステム特性の評価-"空気調和・衛生工学会北海道支部第36回学術講演会論文集. 133-136 (2002)