2001 Fiscal Year Annual Research Report
放散・吸脱着・室内拡散の連成解析による化学物質輸送メカニズムの解明と室内濃度予測
Project/Area Number |
13750561
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Tokyo Polytechnic University |
Principal Investigator |
伊藤 一秀 東京工芸大学, 工学部, 講師 (20329220)
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Keywords | 揮発性有機化合物 / 吸着 / 脱着 / 計算流体力学 / ペイント / 放散 / 有効拡散係数 |
Research Abstract |
本研究では、工学で用いられる先端的な乱流数値解析手法を用いて、(1)建材および施工材からの化学物質放散、(2)建材表面に対する化学物質の吸着・脱着、(3)室内での移流・拡散、の各々を連成して解析することで、室内居住域および呼吸域に対する化学物質輸送のメカニズムを解明することを目的とする。 特に、液相であるペイント・接着剤が乾燥と共に固相に変化する際の化学物質放散速度の減衰性状を解明し、その数学モデルを開発すると共に、室内流れ場と連成して解析することで、高精度な室内化学物質濃度予測手法を開発する。この目的および研究計画に従い、本年度は以下の成果を得た。 1.建材・施工材からの化学物質放散速度データの収集 流れ場の精密な制御が可能なチャンバーを制作し、建材・施工材からの化学物質放散速度、物質伝達率を測定した。さらに建材内の有効拡散係数を測定するための小型チャンバーを開発し、データを蓄積した。これらのデータをもとに下記の数学モデル開発を行った。 2.ペイント硬化に伴う放散速度滅衰を再現する数学モデルの開発 上記1で得られたチャンバー実験による放散速度履歴のデータをもとに、ペイントおよび接着剤が乾燥に伴い放散性状が変化する数学モデルを開発した。数学モデルは(1)時間経過と共に建材内の有効拡散係数が変化、(2)表面に形成された被膜が成長、の2点に着目してモデル化を行った。 3.建材・施工材に対する化学物質吸着量・脱着量データの収集 吸着等温式を利用した吸脱着モデルを適用する際には、各種建材の化学物質吸着量ならびに飽和吸着量のデータが必要となる。チャンバー実験により吸着量の温度依存性に関するデータ(アレニウスプロット)と飽和吸着量を測定し、数値解析に必要なデータを蓄積した。 4.簡易吸脱着モデルの開発 吸着量ならびに飽和吸着量の測定データをもとに、建材表面で生じる吸脱着現象の簡易数学モデルを開発した。特に、室内化学物質濃度低減に効果が期待される活性炭に着目してモデル化を行った。
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[Publications] 伊藤一秀: "揮発性有機化合物の放散・吸脱着等のモデリングとその数値予測に関する研究 化学反応を考慮した室内化学物質濃度分布の数値予測"室内環境学会総会講演集. 124-127 (2001)
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[Publications] 朱清宇, 村上周三, 加藤信介, 田辺新一, 伊藤一秀: "揮発性有機化合物の放散・吸脱着等のモデリングとその数値予測に関する研究(その25) 小型チャンバーFLEC内の流れ場・拡散場の3次元CFD解析"日本建築学会年次大会. D-2. 807-808 (2001)
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[Publications] 加藤信介, 村上周三, 朱清宇, 伊藤一秀: "揮発性有機化合物の放散・吸脱着等のモデリングとその数値予測に関する研究(その26) パッシブ吸着材の濃度低減効果試験法に関する実験とCFD"日本建築学会年次大会. D-2. 809-810 (2001)
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[Publications] 村上周三, 加藤信介, 朱清宇, 田辺新一, 伊藤一秀: "揮発性有機化合物の放散・吸脱着等のモデリングとその数値予測に関する研究(その27) 小型チャンバーADPAC内の物質放散性状に関するCFD解析"日本建築学会年次大会. D-2. 811-812 (2001)
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[Publications] 太田直希, 加藤信介, 村上周三, 伊藤一秀, 朱清宇: "揮発性有機化合物の放散・吸脱着等のモデリングとその数値予測に関する研究(その28) 実大居室模型を用いた化学物質の吸着効果と濃度分布の測定"日本建築学会年次大会. D-2. 813-814 (2001)
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[Publications] 伊藤一秀, 村上周三, 加藤信介, 朱清宇: "ペイント硬化による化学物質放散速度減衰効果を組み込んだ放散モデルの開発とCFD解析"日本建築学会年次大会. D-2. 815-816 (2001)