2002 Fiscal Year Annual Research Report
日米加3国における歴史的環境の保安・再生・活用のための広域NPOの発展過程
Project/Area Number |
13750575
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
岡崎 篤行 新潟大学, 工学部, 助教授 (10281247)
|
Keywords | 歴史的環境 / NPO / アメリカ / カナダ / 保全 / 再生 / 活用 |
Research Abstract |
本研究では、海外現地調査等により、米加両国における広域NPOの発展過程を、近隣NPO・全国NPOの発展との関係も踏まえて分析し、その上で、日本における広域NPOの現状把握を行い、米加両国との比較分析を行うことで、日本における広域NPOの今後の発展のための課題を抽出することにある。 本年度は、国内事例の実地調査、アメリカ・カナダ両国の事例に関する文献資料の入手及びインターネットによる調査のほか、カナダにおいて、全国団体であるカナダ遺産財団の年次大会に出席し、情報収集を行うとともにノバスコシア州を中心とする広域NPO関係者へのヒアリングを行った。また、引き続きトロントにおいて、オンタリオ州の広域NPO関係者へのヒアリングを実施した。 この結果、カナダでは、1)ノバスコシア・オンタリオ両州において、州全域で活動する団体が存在すること、2)それらは1930-50年代の比較的初期に設立されていること、3)また、ともにアンブレラ組織としてではなく、独立組織として広域に活動するものであること、4)オンタリオ州の場合は、州内各地域にブランチを持ち、ネットワーク組織的性質も兼ね備えていること、5)カナダの場合、ブリティッシュコロンビア州、オンタリオ州、ニューファウンドランド・ラブラドール州などに見られるように、州政府が設立したトラストまたは財団等が、保存事業を行っている場合が多く、アメリカに比べるとNPOよりも行政の関与度合いが大きいこと、6)広域NPOの育成・支援のためのプログラムを、全国団体や州域団体が有していることなどがわかった。特に、全国団体による広域NPO育成は、日本にとっても重要な課題といえる。
|
-
[Publications] 岡崎篤行, 井澤壽美子, 高見澤邦郎, 渡邊恵子: "佐原における歴史的町並み保全のプロセスと住民意識"日本建築学会技術報告集. No.14. 315-318 (2001)