2001 Fiscal Year Annual Research Report
結晶中遷移金属イオン・希土類イオンにおける多重項構造の第一原理計算
Project/Area Number |
13750610
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小笠原 一禎 京都大学, 工学研究科, 助手 (10283631)
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Keywords | 遷移金属 / 希土類 / 多重項 / 第一原理計算 / ELNES / XANES / 原子空孔 / 溶質元素 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が開発した相対論的配置間相互作用計算プログラムを用いて、結晶中の遷移金属イオンや希土類イオンの多重項構造について系統的な解析を行うことを目的としている。しかし、これまでのプログラムでは対称性をあらわに考慮していなかったため、対称性の高い系においても不必要に時間がかかってしまっていた。そこで本年度は、計算の効率をアップするために、まず対称性を考慮した計算プログラムの開発から始めた。このプログラムでは、対角化を行う前に2重群の群論に従ってスレーター行列式の対称化を行ない、既約表現ごとに分類する。多電子系のエネルギー準位および波動関数の計算も既約表現ごとに行えば良いので、対角化するべき行列の次数が飛躍的に小さくなり、計算時間を格段に早くすることに成功した。更に、このプログラムでは、これまでのものよりもメモリーを節約出来るため、計算の規模も大幅に拡大することが可能となった。このプログラムを用いて、幾つかの遷移金属酸化物について、遷移金属L2,3励起端における電子線エネルギー損失分光励起端近傍微細構造(ELNES)の計算を行ったところ、スレーター行列式の数を増やすことによって、定量性が大幅に改善されることが確認された。NiOのNi L2,3励起端を例に取ると、NiO6クラスターにおいて、Niの2p,3dに加えてOの2p軌道も全て用いた配置間相互作用の計算が可能となった。この場合、合計52個の電子を具体的に取り扱うことになるが、このような超大規模計算を行うことにより、酸素からの電荷移動遷移に対応する微細構造を定量的に再現することに初めて成功した。
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[Publications] Kazuyoshi Ogasawara: "First-Principles Calculation of Multiplet Effects in Transition-Metal L_<2,3>-edge ELNES"Advanced Materials and Proceedings (PRICM4). 549-550 (2001)
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[Publications] Koji Fujimura: "Relativistic Multiplet Calculations of Absorption Spectra for Rare-Earth-Based Solid-State Laser Materials"Advanced Materials and Proceedings (PRICM4). 1. 583-585 (2001)