2002 Fiscal Year Annual Research Report
ラマン散乱および磁気測定による複合ペロフスカイト誘電体のB-サイト秩序度測定
Project/Area Number |
13750634
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
白神 達也 龍谷大学, 理工学部, 助手 (50257416)
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Keywords | ペロフスカイト / 誘電体 / B-サイト / ラマン散乱 / TEM / 磁化率 |
Research Abstract |
本研究ではPbNi_<1/3>Nb_<2/3>O_3(PNN)というBサイトに磁気モーメントを有するNi^<2+>イオンを持つペロフスカイト構造の物質に着目し、Ni^<2+>-O-Ni^<2+>結合間に働く180°超交換相互作用がおよぶ範囲を調べることにより短距離的な秩序状態を調べることを目的とした。PNNの合成は原料としてNi(COO)_2,Nb_2O_5,を使用し、大過剰のPbOと混合、焼成の後、未反応のPbOは酢酸で溶出した。また、B-サイトイオンの秩序化を進行させるための熱処理は試料をPbOでくるみ、全体を白金箔で包んで鉛の飛散を防ぎながら行った。このようにして熱処理した試料のラマン散乱測定を行った結果、400cm^<-1>付近のピークが1100℃までは熱処理温度を上げるにつれて増大すること、1150℃での熱処理でそのピークがほとんど消失することがわかった。このことは1100〜1150℃の間にB-サイトイオンの秩序-無秩序の相転移があることを意味していると思われる。なお、TEMによる電子回折では超構造に由来するスポットは観測できなかった。そこで、秩序化率を上げるためLaを添加した、Pb_xLa_<(1-x)>Ni_<(1+z)/3>Nb_<(2-x)/3>O_3を合成したところ、粉末X線回折においても超構造に由来するピークが確認された。リートベルト解析による結果、La添加率とB-サイト秩序化率との間に明瞭な相関が認められ、添加率を50%まであげるとほぼ完全に秩序化した。ラマン散乱の測定結果もそのことと矛盾しない。磁化率はパーコレーションリミットを超えているため、複雑な様相を呈した。なお、TEMによる暗視野像観察の結果、Laを20%加えた試料では空間群が立方晶から崩れていることをはじめて発見した。 今回はさらに、ペロフスカイト誘電体の代表といえるチタン酸バリウムについて、非等方圧での圧縮により、その単結晶がモザイク構造になり、相転移が著しく押さえられる現象を発見した。ペロフスカイト誘電体の本質を知るための基礎として重要な知見であると考える。
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[Publications] H.Ikawa, M.Sakurai, M.Takemoto, A.Sugitani, N.Inoue T.Atake, T.Shirakami: "PRESSURE INDUCED MOSAIC STRUCTURE OF BARIUM TITANATE AND ITS HEAT CAPACITY"Ferroelectrics. 269. 225-230 (2002)
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[Publications] H.Ikawa, N.Munekata, T.Ozeki M.Takemoto, T.Shirakami: "FERROELECTRIC PHASE TRANSFORMATION AND DENSITY OF HEATED HYDROTHERMAL BARIUM TITANATE"Transactions of the Materials Research Society of Japan. 27[4]. 707-710 (2002)